新聞12月号(nico 11月号)
『フッ素濃度1500ppmF時代が到来 歯みがき剤の予防力アップしてます!』より
加藤正治(東京都開業)/平野正徳(ライオン快適生活研究所)
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フッ素がむし歯予防に効果があるって、聞いたことありますよね。じつはこのフッ素、日本の歯みがき剤ではこれまで1,000ppmF以下の濃度で配合するよう決められていたのですが、今年3月に国際基準(ISO)と同様の1,500ppmFを上限とする歯みがき剤の発売がついに認可され、販売が始まっているのです。
あらためておさらい! フッ素の効果 フッ素の働きは大きく分けてつぎの3つ。
- ①唾液の中に溶け出したカルシウムなどが歯に取り込まれやすくなり、歯が修復されるスピードと量が多くなる。
- ②抗菌作用でむし歯菌の活動を抑える。
- ③フッ素といっしょに修復された歯の結晶は、もとの歯よりも硬い結晶になるため、むし歯になりにくい丈夫な歯になる。
適切な濃度がお口の中に長く保たれるほど効果が発揮されるので、フッ素配合歯みがき剤には、こうした効果が発揮されやすい濃度が配合されています。実際、国内のフッ素配合歯みがき剤の市場シェアが増加するにともない、1人あたりのむし歯本数(12歳児)は急激に減少しています。
今後、高濃度フッ素を配合した歯みがき剤が普及していけば、むし歯の本数はさらに減少することが予測されます。
高濃度フッ素配合品、子どもも使える?
1,500ppmFの配合が認められるにあたり、歯みがき剤メーカー団体(日本歯磨工業会)が相談して、「6歳未満の使用はお控えいただく」という自主基準を設けました。
歯の形成期である6歳未満は、過剰のフッ素を継続的に飲み込むと、歯に白斑(斑状歯)が現れることがありますが、エナメル質が完成する6歳以降ではまず心配がないため、このような基準となっています。
予防だけじゃなく治療にも有効です!
歯は食事のたびに溶けているってご存知ですか? これでは歯がどんどん減ってしまいそうですが、そうならないのは、溶け出したカルシウムなどが唾液の力によって歯に戻り、補修されているからです。
つまり、歯の溶解に補修のスピードが追いつけば、むし歯はできません。しかし補修が追いつかない状態が続くと、溶解が進み、むし歯ができてしまいます。この初期段階が「初期むし歯」です。
そこで重要になるのが補修のスピードアップ。カギを握るのは歯の補修のスピードを速めるフッ素です。高濃度フッ素配合歯みがき剤は補修のスピードをさらに高めるので、予防はもちろん初期むし歯の治療にもたいへん有効なアイテムなのです。
新聞1月号(nico 12月号)
『歯科のおすすめ 電動歯ブラシのトリセツ』より 加藤 元/関 文久(ともに日本アイ・ビー・エム健康保険組合 予防歯科)
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電動歯ブラシ ちゃんと使えてる?
テクノロジー好きの方が多い日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)の社員の皆さんにも、電動歯ブラシを使っている方が大勢います。
私たち日本IBM健康保険組合は、毎年、希望者を対象に歯科予防プログラムを行っていて、2016年までの参加者数はのべ2万4000人超なのですが、プログラムの実施会場では、「電動歯ブラシを使っているのに、その方が思っているほどお口がきれいになっていない」ケースがよく見られます。染出し液でプラーク(細菌のかたまり)を染めると、意外にみがき残しが目立つんです。そこで気づいた、みがけていない方にアリガチな傾向はつぎの4つ。
- ①電動歯ブラシではブラシヘッドが高速で動いているのに、歯みがき本体を手みがき用の歯ブラシのように動かしている。
- ②軽い力であてればきれいになるはずなのに、ブラシヘッドをグイグイと押し付けている。
- ③ブラシヘッドの交換を忘れていて、購入時のものをそのまま使い続けている。
- ④形状やサイズ、ブラシ毛の質などがその方に合っていないと思われるものを使い続けている。
なかには、間違った使いかたを日常的にしているせいで歯ぐきが傷ついていたり、歯ぐきが下がってしまっている方もいれば、粗めの研磨剤が入った歯みがき剤を使って、歯にダメージを与えてしまっている方も見受けられます。
基本は「あてるだけ、そえるだけ」
フィリップス ソニッケアーやブラウン オーラルBなど、高機能の電動歯ブラシ(音波電動歯ブラシ)を使ううえで大切なのは、「みがきたい部分にしっかりあてること」。
電動歯ブラシはプラークを落とす力が強いものの、みがきたい部分にブラシをあてるのは、使う側がしなくてはなりません。ですから、手みがき用の歯ブラシのように手を動かしてみがいてはいけません。みがきたい部分に「あてるだけ、そえるだけ」が基本です。
また、高機能の製品には、ブラシの押し付け過ぎを知らせたり、防止する機能も搭載されています。逆にいえば、ブラシを押し付けてしまう癖のある人ほど、そうした機能のある製品が向いているともいえます。
使って楽しく、効率的なプラーク除去が期待できる電動歯ブラシ。せっかく使うのなら、適切に使用して十分に性能を引き出せるようにしたいものですね。