nico 2020年4月号(新聞クイント5月号掲載分)
『脱・歯ブラシ一刀流!デンタルフロス&歯間ブラシ 使いかた講座』より 稲垣幸司(愛知学院大学教授)
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歯ブラシではみがけない場所がある!
歯みがきは1 日2 回、いや3 回以上している方も増えてきました。しかし、どんなにていねいに上手に歯みがきができる方でも、歯ブラシ1 本でお口を清潔に保つことは「不可能」(!)です。歯ブラシだけではほぼ絶対にみがききれない場所があるのです。
その1 つ目は、歯と歯の接する「コンタクトポイント」。2 本の歯がぴったりくっついて生えているとき、歯がぶつかっているところです。このすき間には歯ブラシの毛先は物理的に入りません。しかしそれでも細菌は入り込み、プラークを形成し酸を出して、むし歯(う蝕しょく)のもとになります。ここに溜まったプラークは、デンタルフロス(以下、フロス)でないと取り除けません。
2 つ目は、歯が隣り合ったところの「歯の根元まわり」。上の歯でも下の歯でも、根元まわりには歯ブラシが当たりにくく、溜まったプラークは時間とともに病原性を増し、歯周病の原因となります。特に歯の裏側の根元まわりの場合、表側よりもいっそう歯ブラシが届きにくいです。
ここに溜まったプラークを取り除くには、フロスや歯間ブラシを根元まわりに沿うように当てて、みがく必要があります。
極意伝授!フロス& 歯間ブラシの使いかた
ではフロスと歯間ブラシの動かしかたのコツをお教えしましょう。
フロスの場合、
① フロスの糸を、のこぎりを引くように斜めにスライドさせながら歯と歯のあいだに挿入します。コンタクトポイントの清掃は、単純にフロスをとおせばOKです。
② 糸を歯の根元まわりに沿わせます。歯肉の溝に、優しく少しだけ挿入します。
③ 歯の表面に沿って、根元から先端方向にかき出すようにフロスを動かします。
一方、歯間ブラシは、
① 歯と歯の間にある歯肉(歯し 間かん乳にゅう頭とう)を傷つけないように、上の歯なら斜め下方向に、下の歯なら斜め上方向に歯間ブラシを優しく挿入します。
② 歯の根元まわりにブラシの毛先が沿うように、歯間ブラシの角度を変えます。
③ ワイヤーではなくブラシの毛先を当てるようにしてみがきます。
* * *
フロスや歯間ブラシは、誤った使いかたをすると、いたずらに歯肉や歯を傷つけてしまいかねません。とりわけ、まじめに熱心にお口のケアをされる方ほど、誤って使い続けてしまったときのダメージは大きいもの。歯科医院で正しい使いかたを教えてもらってから、“脱・歯ブラシ一刀流”にまい進していただければと思います。
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