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2024年7月号掲載

歯科遠隔医療はキャズムを越えるか

※本記事は、「新聞クイント 2024年7月号」より抜粋して掲載。

 今回の診療報酬改定において、遠隔医療に関する情報通信機器を用いた初診料233点、再診料51点、歯科遠隔連携診療料500点などが新設された。本内容に関する歯科界における興味・関心はいかほどだろうか。

 令和3年厚労省特別研究事業の報告では、遠隔医療を行ったことがない歯科医師は83%という結果であった。外来や入院、訪問、遠隔、さまざまな診療スタイルのうち、外来診療しかやらない歯科医師も多いだろう。当然だと思う。興味はあっても自分ごとにならない、手を出しづらい理由があるからだ。遠隔医療に手を出そうと思ったら、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の理解が必須である。

 しかし前述した指針に関しては「歯科を想定して書かれていない」にもかかわらず、歯科医師も理解することが求められている。人からもらった手紙を、宛名を書き直して別の人に送るようなものだ。

 ところがついに、「歯科におけるオンライン診療の適切な実施に関する指針」が2024年3月に公表された。歯科医師であれば、少なくとも目をとおす必要があるだろう。

 医療分野のICT化が急速に進むなか、外来医だから病棟は関係ない、在宅医療はかかわりがないという医師はいるが、遠隔医療と無関係な医師はいない。外来医が行うDoctor to Patient(D to P)、訪問医が行うDoctor to Patient with Nurse(D to P with N)、病棟医が行う遠隔連携診療。すべての医師が、ぜひ自分ごととしていただきたい。