社会|2024年11月12日掲載

松田謙一氏を招きデンチャーをテーマに

第16回STEP annual meeting with R and PABC 開催

第16回STEP annual meeting with R and PABC 開催

 さる11月10日(日)、西部ガスホール(福岡県)において、第16回STEP annual meeting with R and PABC(STEP主宰:田中秀樹氏、R主宰:徳永哲彦氏、PABC主宰:安東俊夫氏)が、「Denture Forum~ライフステージに合わせた治療戦略~」をテーマに開催された。3パートに分かれた会員発表と招待演者である松田謙一氏(大阪府開業)が講演したほか、31社による展示が行われ、350名が来場した。

 当日は、まずPart1の 「有歯顎者に対する義歯の治療戦略」のセッションが行われ、中野彰博氏(福岡県開業、PABC)がプランナーを務めた。中野氏は、残存歯が存在する場合の義歯の製作のポイントとして、(1)義歯が動かないこと、(2)残存組織の保全、(3)審美・発音・咀嚼の機能回復、(4)長持ちさせるためのメインテナンスを挙げ、それを達成するための検査、診断の方法をアイヒナーの分類、宮地の咬合三角、カマーの分類を用いて解説した。続いて、それらのポイントをふまえながら、高橋武利氏(福岡県開業、PABC)がブレーシングアームシステム、大淵義晃氏(福岡県開業、R)がマグネットオーバーデンチャーなどによる欠損補綴症例を供覧した。

 Part 2の「目指せ! 患者満足度の高い総義歯作製」では、沖 斉賢氏(福岡県開業、STEP)がプランナーを務めた。沖氏は、総義歯製作時の困難なポイントとして、「印象採得、咬合採得、咬合調整」を指摘。そのための工夫として、冨田知孝氏(佐賀県開業、STEP)が現義歯を複製し個人トレーとして印象採得時に活用する方法や、田中 礼氏(福岡県勤務、STEP)はBPS(Biofunctional Prosthetic System)による総義歯製作フローのポイントを解説した。

 最終セッションであるPart 3の「超高齢社会での歯科の役割~歯科衛生士の必要性に迫る~」では、末宗清伸氏(福岡県開業、R)がプランナーを務め、高齢期のライフステージにおける歯と口腔機能の健康が全身に与える影響を総括した。そして、馬場 聡氏(福岡県開業、R)が自院の多職種チームで行う訪問診療を紹介し、そのなかで石井佑美氏(歯科衛生士、はち歯科医院)が行った訪問診療時の様子を動画などで解説した。続いて吹譯浩史氏(福岡県開業、PABC)と手嶋真理菜氏(歯科衛生士、ふきわけファミリア歯科)は、無歯顎の患者が義歯を装着することで全身の健康状態も向上していった症例を紹介し、そのなかで患者や歯科衛生士の成長を見守る医院環境へと変わっていった自院の事例を解説した。

 そして特別講演では、松田氏が「全部床義歯の安定を高めるキーポイント~印象採得と咬合採得のステップを見直そう~」と題して講演した。松田氏は、現在の全部床義歯臨床について、無歯顎患者の減少による歯科医師の経験値の低下などによる環境の変化を指摘。そのなかで、難症例でも適切な義歯治療を明日から行えるように、“適合と咬合”“印象”“咬合”についての考え方を、豊富なエビデンスや臨床例を基に解説した。

 最後に、本発表会実行委員長の荻野真介氏(福岡県開業、STEP)が閉会の辞を述べ、熱気に包まれたまま盛会裏に終了した。

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