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歯根嚢胞

【読み】
しこんのうほう
【英語】
radicular cyst
【書籍】
バイオロジーに基づいた実践歯内療法学-Textbook of Endodontology-
【ページ】
152,232

キーワード解説

 根尖性歯周炎が進行すると歯根嚢胞が生じる。嚢胞とは、顎骨や口腔組織等において、密な結合組織によって囲まれた漿液または粘液などの内容液あるいは半固体の内容物を含む、上皮細胞により内側を裏装された空洞である。歯根嚢胞はいずれの歯にも発生しうるが、上顎前歯部における発生頻度がもっとも高い。二次感染を起こしたり、臨床的に自覚できる程度まで拡大しない限り、通常は無症状である。
 歯根嚢胞はポケット嚢胞(pocket cyst)と真性嚢胞(true cyst)に分類される。ポケット嚢胞は、根管と交通している上皮で被覆された嚢胞腔を有するので、通常の歯内療法で治癒を期待できるが、真性嚢胞は嚢胞腔が上皮性被覆によって完全に閉鎖されているので、根管との交通がなく、根管処置の影響を受けにくい。しがって、真性嚢胞の治癒には外科的処置を考慮しなければならない。