唾液貯留嚢胞
- 【読み】
- だえきちょりゅうのうほう
- 【英語】
- retension cyst
- 【書籍】
- イラストでみる口腔外科手術 第2巻
- 【ページ】
- 136
キーワード解説
唾液腺管(唾液の導管)の閉塞によって生じる唾液(主に粘液)の貯留嚢胞で、口唇(ほとんどが下唇)に生じるものを粘液嚢胞、口底に生じる大きなものをガマ腫と呼ぶ。口唇の粘液嚢胞は粘膜直下の小唾液腺に由来し、ガマ腫の大部分は舌下腺に由来するものである。いずれも導管の閉鎖により、唾液(粘液が主成分)が周囲結合組織のなかに貯留したもので、薄い線維性皮膜で囲まれていて上皮の裏装はない。粘液嚢胞は表在性で、形態も類球形で比較的容易に全摘出できる。これに対してガマ腫は、表面からみて単純な類球形をしているものでも、深部では顎下腺管や舌神経を取り込んでいたり、顎舌骨筋の間に陥入していることもあるので、全摘出は困難で危険を伴うことがある。そのようなことから、ガマ腫に対してはまず開窓手術を行い、再発を繰り返す場合に限って舌下腺も含めた全摘出手術が行われる。