専門情報検索 お試し版

自家歯牙移植の適応症

【読み】
じかしがいしょくのてきおうしょう
【英語】
indications for autotransplantation
【書籍】
YEARBOOK 2025 8ステップで学ぶ! 自家歯牙移植Q&A
【ページ】
16

キーワード解説

自家歯牙移植を成功させるためには、まず適応症かどうかの明確な判断基準をもつことが重要である。一般的な移植の適応症の判断基準として、以下の項目を挙げることができる。
・同一口腔内に保存不可能な歯と智歯などの不要な歯がある。
・ドナー歯がシンプルで抜歯しやすい形態(単根、円錐形、砲弾型など)で、受容側の骨幅がドナー歯より広いほうが好ましい。
・歯根未完成歯の移植では、ドナー歯の歯根の発育段階が理想的にはMoorreesのstage 4~stage 5である。しかし、stage 6でも(根尖孔の直径が1mm以上開いていれば)、リバスクラリゼーション(歯髄の治癒)が期待できる。逆に、stage 3では歯髄の治癒はより起こりやすいが、歯根発育が止まった場合、歯冠-歯根比が悪くなるかもしれない。
・ドナー歯が歯根完成歯である場合、患者の年齢が若い(できれば30歳以下である)ことが好ましい。
・移植が他の治療法(インプラント、ブリッジ、可撤性義歯など)に比べ、より多くの利点があると判断された場合に移植を第一選択としたい。判断基準として、治療期間、料金、機能、予知性、生物学的許容性(歯根膜の有する歯周組織の再生、維持能力、歯牙移動が利用できる)などが挙げられる。