学会|2024年11月12日掲載

多くの日本人演者が登壇し、好評を博す

American Academy of Periodontology 110th Annual Meeting in San Diego開催

American Academy of Periodontology 110th Annual Meeting in San Diego開催

 さる10月31日(木)から11月3日(日)の4日間、San Diego Convention Center(米国サンディエゴ)において、American Academy of Periodontology(AAP) 110th Annual Meetingが開催された。今回は、2年に1回行われる日本歯周病学会および日本臨床歯周病学会との共催として開催された。

 大会初日には、9th Pan Pacific Sessionが行われ、日本からは前川祥吾氏(東京科学大)がデジタルを使用した歯冠長延長術と歯周組織再生療法に用いられている術式について、辻 翔太氏(大阪府開業)が審美領域における歯周組織欠損への歯間付着獲得と乳頭再建のための新術式について、工藤 求氏(東京都開業)がD-SIMBO(digital-strategic implant placement before ortho)テクニックについて、それぞれ講演を行った。

 大会2日目には、メインホールにてPaul S Rosen氏(米国開業)、Hom-Lay Wang 氏、Purnima Kumar氏(ともに米国・ミシガン大)、Joseph Kan氏(米国・ロマリンダ大)、Joseph Fiorellini氏(米国・ペンシルバニア大)らが登壇し、AAPとAcademy of Osseointegration(AO)の共同で行われた「インプラント周囲疾患コンセンサス会議」の内容について講演を行った。インプラント周囲炎に対する非外科的な治療、外科的治療を行う際の材料、SPIT(supportive peri-implant therapy)などについて語られた。上記のコンセンサスの詳細については2025年6月に『the Journal of Periodontology』『the International Journal of Oral and Maxillofacial Implants』で発表される予定とのこと。

 別のプログラムでは月星光博氏(愛知県開業)が自家歯牙移植について、移植を行うタイミングやインプラント治療との比較などを語り、そのうえで長期症例を提示し、会場に駆け付けた多くの参加者の耳目を集めた。

 この日の夜には“Perio Samurai Night”(日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会、株式会社モリタ共催)というディナーパーティーが開催された。演者を含めた学会に参加している多くの日本人が互いに交流を深め、日本ではなかなか味わうことのできない独特な雰囲気の夜を楽しんだ。

 大会3日目には、メインホールにてMichael K McGuire氏、Edward P Allen氏(ともに米国開業)、Giovanni Zucchelli氏(イタリア・ボローニャ大)、Otto Zuhr氏(ドイツ・ゲーテ大)らが、歯周組織再生療法や根面被覆術について、その術式や材料の選択を症例とともに供覧した。

 午後のメインホールでは、「Are Biologics Replacing the “Gold Standard” of Autogenous Bone?」というタイトルのセッションが行われ、Bradley S McAllister氏(米国開業)はrhPDGF-BB(組換えヒト血小板由来成長因子)について、Craig Misch氏(米国開業)はAllograft(同種骨)について、村上伸也氏(阪大)はFGF-2について講演を行った。各種歯周組織再生材料と自家骨との比較や臨床上の利点などを述べており、将来性を感じられる内容となっていた。

 この日の夜には“プレミアディナークルーズ”(日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会共催)というディナーパーティーが開催された。前日のPerio Samurai Nightに続き多くの日本人が参加し、サンディエゴ湾の夜景を楽しみながら船上で交流を深めた。

 大会最終日には、Giulio Rasperini氏(イタリア・ミラノ大)、加治屋幹人氏(広島大)、Paul A Ricchetti氏(米国・ケース・ウェスタン・リザーブ大)らによってホープレストゥースの定義が語られ、特にRicchetti氏の症例供覧の際には会場の参加者が前のめりになり凝視している様子が見られた。

 大会最後のセッションでは、前歯部欠損へのマルチディシプリナリーアプローチとして、日本から築山鉄平氏(福岡県開業)、木戸淳太氏(福岡県勤務)が登壇。審美的治療の客観的基準を説明後、治療計画の決定方法や実際の治療について、築山氏(歯周治療担当)と木戸氏(補綴治療担当)が交互に担当分野の解説を行った。

 本会は歯周治療に関するセッションと同等にインプラント周囲炎に関するテーマが多く、米国ではインプラント周囲炎に関するトピックの注目度の高さをうかがい知ることができた。次回のAAP年次ミーティングは、きたる2025年10月15日から18日にカナダのトロントにおいて開催される予定である。

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