社会|2025年1月27日掲載

国内外から1,200名あまりを集める盛会に

第7回国際歯科技工学術大会開催

第7回国際歯科技工学術大会開催

 さる1月25日(土)、26日(日)の2日間、千里ライフサイエンスセンター(大阪府)において、第7回国際歯科技工学術大会(第46回日本歯科技工学会学術大会共催)(日本歯科技工学会主催、末瀬一彦大会長、石川功和会長)が「世界に発信!アナログとデジタル技工の融合」をテーマに開催され、国内外から約1,200名が参集した。アジア各国を会場に、近年ではおよそ4年おきに開催されている本大会であるが、コロナ禍の影響もあり日本国内での開催は2008年の第4回大会以来17年ぶりとなった。

 会場では、末瀬大会長および石川会長による開会の辞に引き続き、基調講演1題、特別講演3題、企画講演6題、教育講演1題、海外講演3題、シンポジウム3題、日本デジタル歯科学会との共催講演2題の合計19演題に加え、石膏カービングの技術を現地で競うテクニカルコンテスト、および著名歯科技工士から直接指導を受けられる「カービング道場」、そして事前に募集された「CADワークコンペティション」の作品展示なども行われる盛りだくさんな内容となっていた。以下に、演題および演者を示す(講演間順)。

25日
1)基調講演「デジタル化が進展する日本の歯科技工の真髄」末瀬氏
2)企画講演1「歯科技工士の本当の役割・仕事─三位一体で臨む歯科臨床─」大森有樹氏(大阪府開業)/「アナログとデジタル技工を融合させていく未来像 ─歯科技工と美について─」西村好美氏(歯科技工士・デンタルクリエーションアート)
3)シンポジウム1「日本と台湾における歯科技工の違い」中塚美智子氏(大阪歯科大学医療保健学部口腔工学科/許 學全氏(中台科技大学)
4)教育講演「歯科技工士に関する最近の動向」小椋正之氏(日本大学松戸歯学部歯科医療管理学講座)
5)企画講演2「レイヤリングにおけるセラミックマテリアルの選択」藤谷直也氏(歯科技工士・JUST RIGHT DENTAL)
6)特別講演1「まもなく開幕 大阪・関西万博 ─全体像と初展開となるバーチャル万博の取り組み─」大嵩豪朗氏(2025年日本国際博覧会協会)
7)特別講演2「アバターと生成AI による未来社会」西口昇吾氏(実業家・AVITA株式会社)

26日
1)企画講演3「天然歯の模倣」瓜坂達也氏(歯科技工士・Lucent Dental Laboratory)
2)シンポジウム2「未来に向けた歯科技工のスタイル」上原芳樹氏(有限会社ファイン代表取締役)/藤王千春氏(いのうえ歯科医院)/武田 航氏(Johnny's Factory)/西山浩行氏(すべて歯科技工士KDRlabo)
3)共催講演1「デジタル時代における歯科技工士の役割」馬場一美氏(昭和大学歯学部歯科補綴学講座)
4)シンポジウム3「歯科技工士教育制度の動向と展望」大島克郎氏(全国歯科技工士教育協議会会長)
5)企画講演4「デジタル化されたインプラント診断―技工」十河厚志氏(歯科技工士・デンタルデジタルオペレーション)
6)企画講演5「パーシャルデンチャー・オーバーデンチャーでの対応と前処置の重要性」奥森健史氏(歯科技工士・デンタル・プログレッシブ)
7)企画講演6「デジタルアプローチでおこなう補綴手技の実際」辻 貴裕氏(歯科技工士・dental BiOVISION)
8)共催講演2「CAD/CAM 義歯の現状と将来展望」大久保力廣氏(鶴見大学歯学部口腔リハビリテーション補綴学講座)
9)海外講演1「デジタル時代の表面ステインテクニック─モノリシックジルコニアのタイプによる個性的特徴の再現方法─」横田浩史氏(歯科技工士・Signature Dental Lab, Canada〔カナダ〕)
10)海外講演2「The past and the present of laboratory workflow of all on X treatment」趙 仁志氏(歯科技工士・Jien-Shin Dental Laboratory〔台湾〕)
11)海外講演3「Meet colors with eLAB」廖 哲葦氏(歯科技工士・Arteeth Studio 天野 齒 Dental Laboratory〔台湾〕)
12)特別講演3「日常臨床における歯科医療DXの到達点」荒井昌海氏(東京都開業)

 演題の傾向としては、コンベンショナルな歯冠形態や咬合、および歯科技工にまつわる諸問題に関する話題はもちろん、昨今の歯科医療・歯科技工のデジタル化の進展を受けたAI(人工知能)の話題やCAD/CAMの使いこなしに関する話題が目立ち、2025年現在の歯科技工界のトレンドを感じさせるものとなっていた。また、きたる4月13日(金)から開催の大阪・関西万博に関する講演やブース出展が見られた点も時宜に応じたものであった。

 なお、上記のCADワークコンペティションでは、
金賞:「歯科技工士の遊び」西山貴浩氏(歯科技工士・和田精密歯研)
銀賞:「アッセンブルデンチャー」橘田 仁氏(歯科技工士・六甲歯研)
銅賞:「チタンミリングによる加工精度の挑戦!」栗橋由美氏/鈴木宏治氏(ともに歯科技工士・シンワ歯研)
 がそれぞれ受賞した。また、テクニカルコンテスト(下顎左側第一大臼歯の石膏カービング)では、
金賞:歐 柏逸氏(中台科技大学)
銀賞:桃澤拓実氏(新東京歯科技工士学校)
銅賞:伊藤有里氏(大阪歯科大学医療保健学部口腔工学科)
がそれぞれ受賞した。

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