学会|2025年3月4日掲載

「口腔支持療法と薬学の融合」をテーマに

日本がん口腔支持療法学会、第10回学術大会を開催

日本がん口腔支持療法学会、第10回学術大会を開催

 さる3月1日(土)、2日(日)の両日、松山大学樋又キャンパス(愛媛県)において、日本がん口腔支持療法学会第10回学術大会(渡邉真一大会長、山﨑知子理事長)が「口腔支持療法と薬学の融合」をテーマに開催され、多数の医療関係者が参集した。

 会場では2日間をとおして、共催ランチョンセミナー2題、特別講演1題、がんプロ公開講座1題、イブニングセミナー1題、日本癌治療学会-日本がん口腔支持療法学会ジョイントシンポジウム1題、口腔アセスメント実技ワークショップ、シンポジウム、一般口演発表15題、一般演題ポスター発表6題など、盛りだくさんの内容が展開された。

 なかでも、1日目の山浦克典氏(薬剤師、慶応義塾大学薬学部教授・附属薬局長)による特別講演「薬剤師業務および薬学教育で高まる口腔ケア領域の重要性」では、近年の歯科口腔領域における臨床現場や薬学教育のニーズの高まりについて解説が行われた。また、薬剤師の専門性を活かし、口腔内副作用の予防や早期発見に貢献できること、特に薬局が健康サポート拠点として機能することで、服薬管理・指導、セルフケアなどで歯科への受診を促す歯薬連携についてもふれるなど、薬剤師の立場から示唆に富んだ内容が披露された。

 2日目の日本癌治療学会と日本がん口腔支持療法学会ジョイントシンポジウムでは、妻木浩美氏(看護師、静岡県立静岡がんセンター看護部看護師長)と太田嘉英氏(東海大学医学部専門診療学系口腔外科学領域教授)による講演が行われた。妻木氏は、看護師の立場から現場の取り組みを供覧しながら、がん治療が進展するなかで口腔内有害事象への理解や多職種で対応する質の高い口腔支持療法について述べた。また、太田氏はがんの発症メカニズムや抗がん剤の作用機序などについて専門医の立場からわかりやすく解説。また、口腔アセスメントガイド(OAG)をはじめとする評価ツールの信頼性や評価についてふれるとともに、エビデンスレベルだけでなく臨床経験も含め、患者さんをトータルで診るがん口腔支持療法の大切さを説いた。

 次回の第11回大会は、きたる12月6日(土)、7日(日)の両日、国立がん研究センター(東京都)において、山﨑知子大会長のもと「すべてのがん患者に口腔管理を」をテーマに開催される予定。

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