社会|2024年6月4日掲載

「即時治療とインプラント補綴の最前線」をテーマに

日本臨床歯科学会東京支部、2024年度 第1回例会・懇親会を開催

日本臨床歯科学会東京支部、2024年度 第1回例会・懇親会を開催

 さる6月2日(日)、赤坂インターシティコンファレンス(東京都)にて、日本臨床歯科学会東京支部 2024年度 第1回Web例会(日本臨床歯科学会東京支部主催、大河雅之支部長)が開催され、約250名が参集した。今回は、「即時治療とインプラント補綴の最前線」をテーマに据え、インプラント治療に関する講演・執筆多数の小濱忠一氏(福島県開業)による3時間にわたる教育講演と、日本臨床歯科学会東京支部会員による3題の一般講演が相次いで行われた。以下に演題・演者および概要を示す(講演順)。

1)教育講演「前歯部インプラント治療の潮流 ~即時治療の優位性~〔午前の部〕」「臼歯部インプラント治療の潮流 ~インプラント周囲炎に対応した外科および補綴処置~〔午後の部〕」(小濱氏)

 冒頭で示した小濱氏は、教育講演を標記のとおり2部に分けて登壇。午前の「前歯部編」では、前歯部審美治療の概念、抜歯即時埋入における治療概念と戦略、そしてアバットメント選択と上部構造製作の基礎、の3つのトピックを軸に、多数の症例や文献とともに解説。小濱氏による2023年の著書「即時治療の真髄 補綴的要件を達成するための即時埋入と即時負荷」(小社刊)の内容も交えつつ、前歯部単独歯欠損症例および複数歯欠損症例それぞれの即時治療のレシピなどを示した。

 また午後の「臼歯部編」では、インプラント周囲炎の捉えかた、EBMと経過症例に基づいた最適な外科処置、そしてEBMと経過症例に基づいた最適な補綴、の3つのトピックを軸に、インプラント周囲炎のリスクファクターと即時治療の優位性、臼歯部抜歯窩形態の分類およびインプラント埋入ポジション、そして機能性および清掃性の高い臼歯部インプラント上部構造の設計と考慮事項などについて示した。そして全体を通じ、2000年代初頭から術後感染や生存率低下が危惧されてきた抜歯即時インプラント治療は、その後蓄積されたエビデンスや確実な検査・診断・補綴設計を経て行われれば臨床的な優位性が高く、患者にとっても大きなメリットをもたらす治療法であることが示された。

2)一般講演1「硬・軟組織増大術により顎堤の再建を行い審美・機能を回復した症例」(町田真吾氏、東京都開業)

 本演題では、杉並区開業の町田氏が標記の症例を提示。2018年の初診時61歳女性患者に対し、スタビライゼーション型スプリントを用いた顎位の模索や、モディファイドオンレーグラフトを用いた顎堤増大などを経てフルマウスリハビリテーションを行ったうえでの3年経過が示された。

3)一般講演2「インプラントを用いた咬合再構成 ~サージカルガイドの優位性~」(遠藤元気氏、神奈川県開業)

 本演題では、大和市開業の遠藤氏が登壇。上下顎両側臼歯部に多数の欠損がみられた初診時37歳男性患者に対し、検査・診断の上で欠損部にガイデッドサージェリーを用いたインプラント埋入を行い、また歯肉縁下う触のために抜歯となる部位には抜歯即時インプラント埋入を行うことで早期の機能回復を図った症例が示された。

4)一般講演3「欠損を伴った下顎偏位症例に対するフルマウスリハビリテーション」(中村茂人氏、東京都開業)

 本演題では、中央区開業の中村氏が登壇。初診時53歳女性で顎関節症状を訴えた患者に対するフルマウスリハビリテーション症例を提示。2023年に著書「その下顎位をどう決める? ─全顎的補綴修復治療・矯正治療のための臨床的知識─」(小社刊)を上梓した中村氏ならではの、理論立てた検査・診断・治療過程が示された。

 会場ではこのほか、2023年度中の例会でもっともすぐれた発表を行った会員に授与される「SJCDアワード」に武川泰久氏(埼玉県開業)が、同じく新人を対象とした「平林賞」に山口宣伸氏(東京都開業)が選ばれたことが発表され、授賞式が行われた。さらに、コロナ禍を受けて見送られてきた全体懇親会も100名以上を集め盛大に行われた。

関連する特集