学会|2024年6月4日掲載

海外演者による特別講演やハンズオンセミナーを行い約1,300名が参集

日本顕微鏡歯科学会第20回学術大会・総会が開催

日本顕微鏡歯科学会第20回学術大会・総会が開催

 さる5月31日(金)から6月2日(日)の3日間、東京ミッドタウンホールおよび4Fカンファレンス(東京都)において、日本顕微鏡歯科学会第20回学術大会・総会(寺内吉継大会長、表 茂稔実行委員長、三橋 晃会長)が、約1,300名が参集し盛大に開催された。

 大会テーマを「FOCUSING ON THE FUTURE ~グローバルスタンダードの最前線へ~」として開催された本大会は、海外の学会で活躍するJerry Lin氏(台湾・台北医学大)、Adham Abdel Azim氏(米国・パシフィック大)、Shanon Patel氏(英国・キングスカレッジ)、などを招聘した特別講演やハンズオンセミナーを実施。そのほか、大会長講演、特別講演、教育講演、20回大会記念講演、シンポジウム、歯科衛生士シンポジウム、大会長賞受賞講演、ランチタイムセミナー、一般口演、ポスター討論などの多数のプログラムが企画された。

 なかでも、1日目の特別講演でLin氏は「Advanced periodontal regeneration- to build up bone from zero walls and to enhance vertical ridge augmentation」と題して講演。0壁性の垂直性骨欠損の歯周組織再生の可能性を、垂直的骨造成との相乗効果を含めて述べた。氏は、欠損部の徹底したデブライドメント、適切な骨移植材の選定と使用、メンブレンによる被覆、そしてテンションフリーの縫合など「基本を守れば予後は良い」ことを強調した。

 続いてAzim氏は「Microsurgery within the Hour!–A guide to an efficient surgical treatment」と題して講演。手術のタイムマネジメントについて「完璧な治療計画を術前に立てることでストレスを少なくし、時間短縮にもつながる」と解説。その他、器具の色分けや、患者への麻酔浸潤時間を考慮した予約時間の設定などの具体例を挙げた。

 2日目に行われた「Microscopic Dentistryから顕微鏡歯科への道 ~『見る』西洋の視点と和の視座~」として行われたシンポジウムでは、顕微鏡歯科治療をミラーレス(直視)主体で行う佐久間利喜氏(新潟県開業)と、ミラーを用いる三橋 純氏(東京都開業)の講演について、言語文化学の視点から鈴木繁夫氏(名古屋大)が解説する独創的な内容。鈴木氏は、それぞれの立場が意味する “見える”という現象は、そもそも違った文化認識による表現であり、“見える”ことの意味合いが異なることを明快に示した。

 また、3日目の20回大会記念講演では、辻本恭久氏(日大松戸歯学部)が「2004年発足からJAMDの歴史」と題して講演した。辻本氏は、「100名に満たなかった発会時から、マイクロスコープ下での精密な歯科治療の普及を目指して関連メーカーとともに研究発表や意見交換を楽しみながら行っていた」当時を解説。現在2,200名以上の会員数へと拡大した同会の理念を改めて強調していた。

 次回の日本顕微鏡歯科学会第21回学術大会・総会は、きたる2025年4月18日(金)から20日(日)の3日間、徳島大学蔵本キャンパス(徳島県)において開催の予定とのこと。

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