社会|2025年1月27日掲載
小島 香氏が「歯科への言語聴覚士の参画」をテーマに講演
東京都立心身障害者口腔保健センター、Web研修会を開催
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さる1月26日(日)、東京都立心身障害者口腔保健センターによるWeb研修会が小島 香氏(言語聴覚士、こじまデンタルクリニック)を講師に招聘し、「歯科への言語聴覚士の参画 口腔および摂食嚥下機能の維持改善に向けた取り組み~歯科診療所の言語聴覚士の視点から~」をテーマに開催された。
冒頭、小島氏は言語聴覚士(以下、ST)の総数が21,603名(2024年3月現在)に対して歯科診療所勤務のSTは推定最大でも30名程度であり、歯科に勤務するSTはまだごくわずかである現状を共有。そして、STの専門性のなかでも特に歯科との親和性が高い専門性には「構音障害」と「嚥下障害」を挙げ、高齢期、成人期、小児それぞれのステージごとにSTが関与することの多い領域を解説した。
また、患者さんの口腔内や検査のデータ、同一の情報であっても歯科職は歯数やう蝕歯の有無、歯肉の状態を材料に評価することが多いのに対し、STは咽頭や舌骨、舌、口蓋、口唇に着目する視点の違いについて強調し、「その歯科職と異なる視点が隠れた問題の発見に貢献できる要所」と述べるとともに、歯科職のみではサポートの届きづらい歯科治療後の口腔機能における評価や支援をフォローアップすることが、多職種が歯科と連携する意義のひとつとも補足した。
次に、日本の医療費・介護給付費のデータや歯科受診パターンによる累積介護費用の傾向について言及し、口腔機能の低下が将来的に要介護状態に陥る関連性について説明した。そして、歯科が要介護・認知症予防の防波堤として貢献できる可能性についてもふれ、そのなかでも特に施設高齢者の誤嚥性肺炎への介入を例に、「歯科プライマリケアにおいてSTは縁の下の力持ちとして貢献できる」ことをアピールした。
その他、診療報酬の算定の可否も挙げ、歯科訪問診療においてSTと連携することによって算定できる診療報酬が少なく、付加価値に留まっている現状について説明。歯科から充実したリハビリテーションを提供できる環境整備のためにも、保険制度の見直しについて検討の余地があることにもふれた。