社会|2025年1月28日掲載

歯科医師10名が登壇し、骨造成のハウツーに特化した講演が行われる

The Implant Japan 2025が開催

The Implant Japan 2025が開催

 さる1月26日(日)、東京ポートシティ竹芝(東京都)において、The Implant Japan 2025が「GBR ORCHESTRA~骨造成 How to 絶対に失敗しない骨造成を目指して!~」をテーマに(株式会社WIERO主催)が373名の参加者を集めて開催された。

 本会はインプラント治療のハウツーに特化したセミナーで、今回は骨造成について、若手・ベテランの歯科医師10名が講演を行った。以下に演題と概要を示す。

(1)「最初に行うべき骨造成」浅賀勝寛氏(埼玉県開業)
 浅賀氏は初めに骨造成の歴史やGBR(骨再生誘導法)について解説し、その後、前歯部に骨造成およびインプラント埋入を行った症例を供覧。水平的骨造成で注意しているポイントとして、①インプラント埋入ポジション、②抜歯後の時間、③自家骨:Bio-Ossの割合、④メンブレンの使い分け、⑤プラークコントロール、⑥チタンピンによる固定、⑦縫合、⑧骨造成後の時間を挙げた。

(2)「骨欠損形態におけるバリアメンブレンの選択」井汲玲雄氏(群馬県開業)
 井汲氏は、頬側骨が1.5mm未満の場合には骨造成を行ったほうがよいと報告している文献を示し、ITI blogに掲載した骨欠損形態に応じたメンブレンの選択について解説。特にTypeⅡ、TypeⅢの場合に焦点を当て、TypeⅡでは吸収性メンブレンを、TypeⅢは非吸収性メンブレンを選択すると説明した。

(3)「GBRにおける軟組織マネジメント」小川雄大氏(東京都開業)
 小川氏は軟組織マネジメントの基準として、水平的歯肉の厚み2mm以上、角化歯肉2mm以上、BIC(Bone to Implant contact)からGM(Gingival Margin)4mm以上を挙げ、硬・軟組織マネジメント時には骨がどこにほしいか三次元的に計算する必要があるとした。そして、インプラントが右側上顎中切歯に入っている状態のケースを供覧し、角化歯肉が必要なため、CTG(結合組織移植術)、FGG(遊離歯肉移植術)を行ったとした。

(4)「骨造成における術式選択と考慮すべきポイント」井原雄一郎氏(東京都開業)
 井原氏は、骨造成時の年齢が1歳上がると0.05mm骨吸収量が増加すると報告したレビューについて示した後、インプラント埋入と同時に骨造成を行う場合はインプラント体の外側への骨再生の条件は悪くなると述べた。また骨欠損範囲が大きくなるにつれて、非吸収性メンブレンを用いたGBRが適応となるとまとめた。

(5)「GBRの合併症を予防するための対応」萩原 誠氏(兵庫県勤務)
 萩原氏は、合併症の予防のためにはGBRのプロトコルを遵守する必要があるとし、また非吸収性メンブレンが裂開してしまったケースを挙げ、それを防ぐためにはピン固定が重要であると解説した。そして、「トラブル回避のために起こりうる合併症はすべて必ず患者に伝える必要がある」と説いた。

(6)「自家骨ブロック移植を用いた骨造成」新見大輔氏(東京都勤務)
 新見氏は自家骨ブロック移植の利点として、治療期間の短縮、いかなる骨欠損にも適応可能、治療費用が少ない、術後の合併症が少ないこと、欠点としては骨吸収や外科的侵襲、利用可能な骨量の制限を挙げた。特に複数歯での三次元的に骨造成が必要なケースで自家骨ブロック移植が第一選択となると説明し、薄い皮質骨ブロックと自家骨砕骨を使用するKhouryテクニックの術式を解説した。

(7)「GBRにおける合併症への対応」増田英人氏(大阪府開業)
 増田氏は、抜歯にともなう硬組織のボリューム減少を回復させるための手法としてGBRはシンプルで、部位を選ばず応用しやすいが、一方で合併症が起こる可能性も含めて患者とインフォームドコンセントを得ることが大切であると強調した。そして感染が生じてしまった症例を供覧したのち、万が一合併症を引き起こした場合には迅速かつ適切な対応を行い、自身で行った治療に最後まで責任をもって取り組むと宣言した。

(8)「オープンバリアメンブレンテクニックの実際」名取 徹氏(福岡県開業)
 名取氏は、左側上顎第一大臼歯を抜歯しCytoplastを用いてソケットプリザベーションを行った症例を供覧。オープンバリアメンブレンテクニックを用いることで従来の術式と比較して、外科の回数を減らすことができ、また骨造成のみならず、角化歯肉の増大、口腔前庭の拡張が可能であるとした。

(9)「GBR成功のためのテクニック」中田光太郎氏(京都府開業)
 中田氏は、交通事故により損傷した複数歯連続欠損の症例を供覧し、Dr. Istvan UrbanによればGBRは①良い材料を用いること、②材料が安定すること、③それらが感染せず存在することがポイントだとした。また、デコルチケーションや骨膜減張切開、メンブレンのトリミングなど骨造成時の細かいテクニックについて、動画を供覧しながら解説した。

(10)「THE GBR」石川知弘氏(静岡県開業)
 石川氏は、外側性のGBRにはスペースの維持が必要で、非吸収性メンブレンの信頼性が高いとした。またe-PTFE を用いてGBRを行った症例やハニカムメンブレンを用いた症例を供覧し、再生した骨によって長期的にインプラントを支持することができ、また軟組織をサポートし、失われた審美性を再建できると述べた。

 昨年と同様に参加者は若手歯科医師が多く熱心に聞き入っており、盛会裏に終了した。なお次回は、海外演者を招聘してきたる2026年1月25日(日)に開催される予定である。

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