学会|2024年6月18日掲載

「大阪・関西Perio万博2024~未来へ繋ぐぺリオ・インプラントの最前線~」をメインテーマに

日本臨床歯周病学会第42回年次大会が開催

日本臨床歯周病学会第42回年次大会が開催

 さる6月15日(土)、16日(日)の両日、大阪国際会議場(大阪府)において、日本臨床歯周病学会第42回年次大会(瀧野裕行大会長、木村英隆理事長)が、「大阪・関西Perio万博2024~未来へ繋ぐぺリオ・インプラントの最前線~」をメインテーマに掲げて開催された(2024年7月10日から8月20日までオンデマンド配信予定)。参加登録者数は2,860名で、そのうち当日の会場来場者数は2,390名だった。

 1日目の歯科医師特別講演では、Giulio Rasperini氏(イタリア・ミラノ大学)が「Procedure for interdental attachment gain in periodontal regeneration」と題して講演を行った。Rasperini氏は、まず歯周組織再生療法に関する術式と材料の歴史的背景を説明し、そのうえで歯周病治療において生物学的な知識について知識を深めることの重要性を述べた。次に、歯周病の新分類でも付着歯肉に焦点が当てられていることを言及したうえで、現在では歯周外科治療の進歩により、歯肉退縮が生じている症例における骨縁下欠損の治癒および根面被覆を同時に達成できると述べ、自身の症例とともに解説を行った。

 また、歯科衛生士教育講演「患者コミュニケーション」では、川崎律子氏(歯科衛生士、長谷川歯科医院)と石原美樹氏(歯科衛生士、株式会社COCO DentMedical)が登壇。川崎氏は、患者さんを分析し、だれにでも身につけることができるコミュニケーションのコツについて解説。コミュニケーションを円滑にするためのツール「ソーシャルスタイル」の4つのタイプについて、症例を示しながら詳説した。また、石原氏は、患者さんとのコミュニケーションを構築するためのポイントを紹介。医療面接で実際に使っているメディカルインタビューシートを示しながら、否定しないこと、患者さんに興味をもつことなどを挙げたうえで、医療面接は今後患者さんとかかわっていくうえで非常に重要になると力説した。

 2日目には、本学会初となる歯科衛生士セッションの特別講演として、Jessica Skoogh Anderson氏(スウェーデン・イエテボリ大学)を招聘。臨床的ならびに科学的な観点による歯周炎とインプラント周囲炎のマネジメントについて講演が行われ、注目を集めた。

 最後に、歯科医師・歯科衛生士合同シンポジウム「メインテナンスに入る条件」が行われ、宮本泰和氏(京都府開業)、小倉陽子氏(歯科衛生士、四条烏丸歯科クリニック)と、水上哲也氏(福岡県開業)、下田裕子氏(歯科衛生士、水上歯科クリニック)がそれぞれ登壇した。

 宮本氏、小倉氏は「長期症例から見た歯周病患者のメインテナンスに移行できる条件」と題して講演を行った。宮本氏は歯周組織再生療法を行った症例をいくつか供覧し、「動的治療からメインテナンスに移行するのに望ましい条件」や「歯周組織再生療法後の再評価検査でポケットが残存する場合の対応方法」など、臨床に直結する内容について述べた。小倉氏は「メインテナンスカルテ」という診療録を作成することで、医院内全体で情報を共有でき、「医院力向上」につながると話した。

 水上氏、下田氏は「チームで取り組む歯周組織再生療法」と題して講演を行った。下田氏は、歯周病を有する患者さんとは長期的な付き合いになることを前提に、患者さんの性格に加えて生活背景や職場環境などを考慮してコミュニケーションを取ることが重要であると述べ、その具体例を挙げて解説した。水上氏は、歯周組織再生療法などの外科的な治療介入を行った症例を供覧し、そのポイントについて詳説した。また、外科的な介入を行うとしても、歯周基本治療や歯周組織再生療法後のメインテナンスなど、歯科衛生士が行う治療が重要であると述べた。最後に、歯周治療では歯科医師と歯科衛生士とのパートナーシップを築き、チームアプローチで対応していくことが大切であると語った。

 その他にも、シンポジウムや教育講演、インターナショナルセッション、モーニングセミナー、ランチョンセミナー、ケースプレゼンテーションなど2日間にわたり多くのプログラムが実施され、盛会となった。

 なお、次回の第43回年次大会は、きたる2025年7月26日(土)、27日(日)の2日間にわたり、広島国際会議場(広島県)で開催予定である。

関連する特集