社会|2024年7月29日掲載

アライナー矯正治療を行う歯科医師の専門知識向上を図る

アライナー研鑽塾「アライナー矯正の流儀2024」開催

アライナー研鑽塾「アライナー矯正の流儀2024」開催

 さる7月27日(土)と28日(日)の両日、大阪大学中之島センター(大阪府)にて、アライナー研鑽塾(主宰・藤山光治氏[京都府開業])による「アライナー矯正の流儀2024」が開催された。アライナー研鑽塾は、2016年から全国的な活動が始められたアライナー矯正治療の学びの場である。近年急速に普及しているアライナー矯正治療について、「デジタル化により治療効率が向上した面もあるが、診断や治療計画は個々の歯科医師に委ねられているため、アライナー矯正歯科に特化した専門知識を身につけたうえで治療を行うことが重要」と考えるアライナー矯正治療のスペシャリスト6名(藤山氏、松岡伸也氏[東京都勤務]、窪田正宏氏[石川県開業]、増岡尚哉氏[東京都開業]、上里 聡氏[香川県開業]、福田哲也氏[石川県開業])がケーススタディ形式で講演を行う。

 今回は1日めを「ベーシックコース」として、「アライナー矯正の基礎知識と症例選択」(窪田氏)、「インビザラインGoの症例選択と注意点」(松岡氏)、「モニタリング・フィニッシング・リテンションの注意点」(福田氏)、「クリンチェックのステージングと最終位置」(藤山氏)、「手を出すべきではない症例とそのリカバリー」(上里氏)が、また2日めを「アドバンスコース」として、「Open Bite症例のクリンチェックポイント」(福田氏)、「Deep Bite症例のクリンチェックポイント」(窪田氏)、「Cross Bite,Scissor Bitesのクリンチェックポイント」(増岡氏)、「CBCTを利用したクリンチェックの気を付けるべきポイント」(藤山氏)「アライナー各社の比較とインハウスアライナーの利欠点」(上里氏)が講演された。6名の演者はある同一の矯正歯科のフィロソフィーのもとに研鑽を積んできたわけではなく、それぞれ別個にスペシャリストとして活躍しているが、これらの講演タイトル群からわかるように、アライナー矯正治療においては症例選択および治療計画が重要であり、良好な治療結果を導く症例選択と治療計画のためには、歯科矯正学の専門知識および経験が不可欠との考えでは共通している。アライナー矯正治療は決して易しいものではなく、アライナー供給側から戻ってきた治療シミュレーションにおける歯の移動が果たして実現可能なものか、そうでなければどのように修正を行うべきか、非現実的な移動とはどのようなものかという点は、どの演者からも熱心に語られた。

 参加者にはアライナー矯正治療をすでに行っている歯科医師と未施行の歯科医師が混在していたが、具体的な技法や問題点について解説される講演に対し活発な質疑応答がなされ、アライナー矯正治療を行う・始めるにあたって実務に役立つさまざまな知見が共有された2日間となった。

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