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学会|2024年8月6日掲載

インプラント周囲炎へのさまざまなアプローチ方法が語られる

(公社)日本口腔インプラント学会関東・甲信越支部第14回学術シンポジウム開催

(公社)日本口腔インプラント学会関東・甲信越支部第14回学術シンポジウム開催

 さる8月4日(日)、富士見ホール(東京都)において、公益社団法人日本口腔インプラント学会関東・甲信越支部第14回学術シンポジウム(月岡庸之大会長)が、「インプラント周囲炎への挑戦 診断・治療計画・再生治療を駆使した予防的アプローチ」をテーマに350名を集め開催された。

 午前のシンポジウム1では伊東浩太郎氏(日大松戸歯学部)、曽根崇晴氏(神歯大)、松山文樹氏(東京都開業)が登壇。それぞれ「インプラント術前画像の定量分析」、「インプラント周囲炎のリスクファクター」、「顎関節を考慮したインプラント咬合再構成」の演題で講演した。なかでも、伊東氏はインプラント周囲炎のリスクのある骨質をテクスチャー解析(画像の質感を数値化する分析方法)で見つけるAIモデルを作成しており、インプラント治療の画像診断時にもAIが用いられ始めているとした。

 シンポジウム2では岡 篤志氏(医歯大)が、細胞学的、遺伝子学的観点でのインプラント周囲炎の病態に関して報告。また、シンポジウム3では、簗瀬武史氏(埼玉県開業)が一般社団法人日本歯科専門医機構認定インプラント歯科専門医の現状と展望について、術者が患者の加齢にともなう変化に対応できるようにインプラント治療にかかわるさらなる環境整備が不可欠であると話した。

 午後のシンポジウム4では、まず奥寺俊允氏(東京都開業)が「長期安定性を考慮したインプラントの3次元的埋入位置」と題して登壇。続いて新井達哉氏(歯科技工士、ユーデンタルアート)が「インプラントデザインを考慮した補綴形態」について、その後、林 丈裕氏(東京都開業)が「インプラント周囲疾患を引き起こさないための治療戦略」に関して講演を行った。特に新井氏は、軟組織をコントロールするにあたって、適切な補綴形態と正しい埋入ポジションに配置することが重要だと強調した。

 そして、シンポジウム5では、佐々木穂高氏(東歯大)、金森行泰氏(東京都開業)、百瀬康仁氏、内藤幸恵氏(ともに東京都勤務)が登壇。それぞれ「インプラント周囲軟組織の特徴から考える『インプラント周囲炎の新分類』」、「インプラント周囲炎におけるティッシュマネージメントの重要性」、「インプラント周囲炎に関連する全身疾患と外科処置について」、「生涯寄り添えるメインテナンスを心掛けて」の演題で講演し、角化歯肉幅に関する考察や、インプラント周囲炎のリスクインジケーターとして挙げられる喫煙と糖尿病の文献的考察などが語られた。

 各発表の後には質疑応答があり、なかでも審美的要求が高い患者の治療時に心掛けていることに関するディスカッションが耳目を集めていた。なお、次回は、「ゼロボーンロスを達成するために必要なストラテジー」をテーマとして2025年7月27日(日)に東京都にて開催予定。

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