同窓会|2025年1月15日掲載
「過去・現在・未来の対話」をテーマに
第28回米国歯科大学院同窓会35周年記念大会が開催
さる1月11日(土)、12日(日)の両日、第28回米国歯科大学院同窓会(JSAPD、築山鉄平会長)35周年記念大会が「過去・現在・未来の対話」をテーマに御茶ノ水ソラシティ(東京都)とWeb配信によるハイブリッド形式にて開催された。
1990年に発足された本会が今年で35周年を迎えることを記念し、1日目は“レジェンド発表”がWeb開催され、創始者である船越栄次氏(福岡県開業)が「長期症例から学ぶ重度歯周炎の治療」、岩田健男氏(東京都開業)が「顎口腔系の経年変化とインプラント補綴の咬合様式」と題してそれぞれ登壇した。
2日目は築山会長(福岡県開業)による開会の挨拶で幕を開け、午前は5名の会員による講演が行われた。以下に、演題および演者を示す。
「インプラントの即時埋入、即時荷重の実用」吉田守男氏(東京都開業)
「デジタル補綴におけるデジタル義歯の過去とこれから」片岡 智氏(愛知県開業)
「口腔内全体を考慮したインプラント治療計画」石上貴之氏(東京都開業)
「Advanced Treatment Planningをベースにしたチームアプローチ」木戸淳太氏(福岡県勤務)
「Terminal Dentition – Diagnosis and Treatment Strategy –」杉田龍士郎氏(千葉県開業)
なかでも片岡氏はデジタル技術を用いた義歯製作に焦点を当て、デジタル義歯の特徴を従来型の義歯と比較したうえで、その有用性について考察した。木戸氏は母校のタフツ大学で学んだ治療計画の流れや思考プロセスを解説し、矯正歯科、歯周、歯内の各科と連携して治療を行った症例を供覧。杉田氏は終末歯列を「単一あるいは複数の疾病の結果として残存歯列となった状態、予後が著しく悪化した状態」と定義し、欠損歯列の捉え方を解説。咬合支持の完全な喪失の前に歯列改変が必要と述べ、終末歯列を考慮して治療計画を立てることの重要性を強調した。
午後は3名の会員による講演が行われた。以下に、演題および演者を示す。
「エンドの過去・現在・未来 私達は何を理解したのか?」宮下裕志氏(東京都開業)
「エンド・ペリオ病変のマネージメントとその問題点」石井 宏氏(東京都開業)
「最先端の歯内療法の可視化と治療シミュレーション:マイクロスコープから拡張現実(AR)まで」岡崎勝至氏(埼玉県勤務)
なかでも宮下氏は歯内治療の成功率について多数のエビデンスを供覧し、自身の臨床研究と比較しながら考察。すべては正しい診断から始まるとし、患者やその歯に適応するかの正しい意思決定が大切であると述べた。
最後に、築山会長が閉会の辞を述べ、本大会は盛会裏に閉幕した。次回大会はきたる2026年1月に開催予定。なお、JSAPDの有志会員によるリレー企画「EBMの時代、知っておきたいこの文献―私が感銘を受けた文献から―」がザ・クインテッセンス誌にて連載中である。