社会|2024年8月26日掲載

「新しい医科歯科連携による患者安全への模索」~コデンタルの役割向上によるチーム歯科医療の確立~をテーマに

第9回国際歯科医療安全機構総会・学術大会開催

第9回国際歯科医療安全機構総会・学術大会開催

 さる8月24日(土)、昭和大学(東京都)において、一般社団法人国際歯科医療安全機構第9回総会・学術大会(代田達夫大会長、瀬戸●(かん)一[●は日へんに完]理事長)が、「新しい医科歯科連携による患者安全への模索」~コデンタルの役割向上によるチーム歯科医療の確立~をテーマに現地およびWeb配信のハイブリッド形式にて開催された。

 まず槇 宏太郎氏(昭和大歯科病院病院長)の挨拶が行われた後、瀬戸氏より「人的エラーによって患者さんが不利益を被ることがあってはならない」という想いのもと、医療安全・感染対策等を中心に歯科医療者の資質向上と歯科医療の標準化を目指すとの本機構の設立経緯が説明された。

 次に、招待講演1として小嶺祐子氏(厚生労働省医政局歯科保健課長)が「ライフステージに応じた口腔機能管理」と題し講演。小嶺氏は冒頭、コロナ禍で歯科医療機関の受診控えがあいついだ時期の医療提供体制の実態について説明。また令和6年度診療報酬改定では、その実態に沿った保険制度に見直しをはかった結果として複雑な改定になったとの経緯が解説された。特に、より実態に即した感染対策評価の観点から歯科外来診療環境体制加算(外来環)と入れ替わる形で新設した歯科外来診療医療安全対策加算1・2(外安全)、歯科外来診療感染対策加算1~4(外感染)の施設基準や算定概要が共有された。また、小児口腔機能管理における指導・訓練やオーラルフレイル概念図を提示し、口腔機能管理の重要性にもふれられた。

 続いて、招待講演2として藤内 祝氏(横浜市立大名誉教授、明海大客員教授)が「歯科衛生士による歯科医療の質的向上をはかる」と題し講演。藤内氏は、誤嚥によって口腔内細菌を体内に取り込むことによって引き起こされる術後肺炎の影響とともに、2012年より保険導入された周術期等口腔機能管理(当時・周術期口腔機能管理)の取り組みについて紹介した。そして周術期の口腔衛生管理の重要性を解説するなかで、チーム医療としての歯科衛生士の役割や活躍へ期待を寄せた。

 その後は、報告事項として「昭和大学における口腔ケアの取り組みと将来展望」また「総合病院歯科口腔外科におけるコデンタルの役割」と題し、総合南東北病院のチーム活動が共有された。なかでも、総合南東北病院における言語聴覚士を含めた嚥下リハビリテーションにおける肺炎カンファレンスの取り組みが紹介され、患者さんの在院日数の短縮や医療費の適正化への貢献につながった旨がアピールされた。

 最後は瀬戸氏より「歯科から医科に対する連携強化をはたらきかけていくとともに、地域医療に則した歯科医療のあり方を見つめ直すことで社会機能と歯科を結び付けたい」との今後の展望が語られ、盛会となった。

関連する特集

Your TIME 2nd開催

「多職種連携」「健康管理」について既成概念にとらわれない形を追求する新たな文化祭

Your TIME 2nd開催

  • 社会
  • 2024年8月27日掲載