社会|2024年11月13日掲載
「学び直し~Reskilling~」をメインテーマに
第21回千葉県歯科医学大会が開催
さる11月10日(日)、京成ホテルミラマーレ(千葉県)において、第21回千葉県歯科医学大会(千葉県歯科医師会主催、大河原伸浩会長)が「学び直し~Reskilling~」をメインテーマに開催された。併催の「いい歯のイベント2024」「第42回千葉県口腔保健大会」「千葉デンタルショー2024」などを含め、一般や歯科関係者1,000名あまりが来場する盛り上がりをみせた。
ハンズオンセミナー「一般歯科臨床に役立つ限局矯正について」では、常盤 肇氏(東京都開業)が登壇。ワイヤー矯正を新たに診療に取り入れようと考える歯科医師向けに、失敗しないための症例選びの基準を解説するとともに、模型実習を行った。症例選択については、まずはアングルⅠ級の不正咬合のうち、自分が対応できるものを吟味することが重要とし、手に負えないものは他院につなぐのが安全だと述べた。模型実習では、氏が用意した作業用模型に、適切な位置と角度でブラケットを取り付ける処置を参加者が体験。氏は「ブラケットの位置で歯の移動の方向が決まるため、ブラケットのポジショニングはもっとも重要なポイントの1つ」と評した。
医薬歯シンポジウムでは、大河原氏の座長のもと、MRONJ(薬剤関連顎骨壊死)問題に関して医科・薬科・歯科サイドからそれぞれの専門家が知見を述べた。医科サイドからは「骨粗鬆症治療医からみたMRONJ対策と連携」の演題で井上大輔氏(医師、帝京大ちば総合医療センター病院長)が講演。ビスフォスフォネート製剤(BP剤)とデノスマブの薬効の違いや注意すべき点、「顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023」の要旨をまとめた。薬科サイドからは「顎骨壊死を予防するための医歯薬連携を考える~薬剤師の立場から~」の演題で新井さやか氏(薬剤師、千葉大医学部附属病院)が講演。薬剤師の業務を紹介するとともに、医師と患者のあいだに立ち、処方の情報の伝え漏れを防ぐ役割があることを述べた。そして歯科サイドからは「顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023における改定のポイント」の題で野村武史氏(東歯大市川総合病院歯科口腔外科部長)が講演。MRONJのステージごとに、保存的治療・外科的治療のどちらを選択すべきかなど、歯科的な対処をメインに解説した。演者3名とも顎骨壊死検討委員会のメンバーであり、医科と歯科、そして薬科が緊密に連絡を取り合うことで、MRONJのリスクを最小限にできることが示された。
そのほか、千葉県歯科医師会と姉妹関係にある韓国京畿道歯科医師会から孫 永輝副会長を招いての招待講演「審美的前歯部インプラントのための配慮すべきファクター」、植松厚夫氏(神奈川県開業)による教育講演「歯科補綴治療におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)への課題」、スタディーグループ「南総の会」や「千葉歯科臨床フォーラム」らによる公開症例検討会など、盛りだくさんの大会であった。