社会|2025年2月3日掲載
「エビデンスに基づいた新規アンチエイジング口腔検査・治療法の最前線」をテーマに
第28回抗加齢歯科医学研究会が開催
さる、2月2日(日)、日本橋ライフサイエンスハブ(東京都)において、第28回抗加齢歯科医学研究会(李 昌一大会長)が、「エビデンスに基づいた新規アンチエイジング口腔検査・治療法の最前線」をテーマに開催され、会場には約50名が参集した。
開会後、阪井丘芳氏(大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能治療学講座教授)による世話人代表挨拶ならびに大会長の李氏よりテーマ説明が行われた。李氏(神奈川歯科大学社会歯科学講座災害歯科学分野教授)は、平均寿命と健康寿命との間に乖離がある現状にふれ、健康寿命延伸の重要性とともに未来型アンチエイジング口腔予防検査・治療の最前線について言及。産学連携のもと保存・補綴・口腔外科中心の歯科医学からの転換について、示唆に富む内容を披露した。
午前の部の講演1では阪井氏、講演2では武内博朗氏(日本大学歯学部臨床教授)が登壇。特に阪井氏の講演では、前半では大阪・関西万博の最新情報とともに万博の開催に向けて開発が進められているヘルスケアアプリの概要が共有され、後半では、抗加齢医学の基礎が解説された。なかでも最先端の医療・科学研究分野においてガン→脳・神経研究→ヒトゲノム解析→AIと近年のトレンドの変遷が述べられた他、次のトレンドの有力候補にはアンチエイジングを挙げるなど、今後伸びるテーマとしての未来展望が語られた。
その後は、李氏によるランチョンセミナーが行われた。李氏は、抗酸化に有用なサプリメントの紹介もまじえつつ、唾液のもつ抗酸化作用について解説。炎症反応によるペリオドンタルメディスンへの対応として、唾液抗酸化能検査からアンチエイジングにつなげていく提案がなされた。
午後の部の講演3では小松知子氏(神奈川歯科大学全身管理歯科学講座教授)、講演4では山田浩之氏(岩手医科大学歯学部口腔顎顔面再建学講座口腔外科学分野教授)、講演5では多職種連携セッションとして田村勝利氏(獣医師、アニコム先進医療研究所 倉敷芸術科学大学元教授)、歯科衛生士連携セッションには野村沙耶氏(医療法人社団永福やまねセンター歯科)、北尾衿奈氏(神奈川歯科大学附属病院障害者歯科)(ともに歯科衛生士)が登壇した。
なかでも山田氏の講演では、さまざまな粘膜疾患の概要と臨床症状が供覧され、些細な違和感を見過ごさず必要に応じて追加検査を行い、がんを発見した症例を報告。あわせて、病変を見つけるための染色や拡大内視鏡を用いた手法などが紹介された。野村氏の講演では、犬と猫による歯周病関連菌とさまざまな疾患との関連研究データから獣医療領域における歯周病と多疾患の新たなエビデンスが共有され、ヒトの臨床にも通じる可能性のある興味深い内容が共有された。