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2020年11月号掲載

EMS Japan株式会社の「顔」

「予防にまさる治療なし」を提供できる企業であり続けたい

 予防歯科をサポートする企業として注目を集めるスイスの歯科医療機器メーカーEMS社。2009年から同社の経営に参画し、2020年6月より日本法人の代表取締役に就任した
杉江 護氏(EMS Japan株式会社 代表取締役)は、「モノ売りの企業ではない」と強調する。本欄ではその真意と想いをうかがった。

杉江:本年3月31日をもちまして、株式会社松風(以下、松風社)とEMS Japan 株式会社(以下、当社)において当社製品の販売代理店契約が終了いたしました。移行期間である4月1日から消耗品(パウダーやチップ、ハンドピース)は、松風社より継続して販売されています。保守・点検サービスにつきましては、本年12月末まで松風社が継続して行い、2021年1月1日からは当社が行います。

 今後、当社はSDA(Swiss Dental Academy:スイスデンタルアカデミー)を通じてGBT(Guided Biofilm Therapy:誘導的バイオフィルム療法)の手順書(プロトコール)を、「臨床的な解決策」として提唱し、この普及活動に共感・賛同いただける歯科商店様とともに進めていきます。

 当社の事業全体について向こう3年をマクロな視点で捉えると、2020年は“変革”と考えています。当社製品は日本市場で約40年にわたり、予防歯科分野で患者さんの良好な口腔環境の保持に貢献してきましたが、今回の販売網の変更にともない、保守・点検サービス、マーケティング体制が大きく変わることになります。2021年はその準備を実践に移す年と考えています。もちろんすべて完璧には行かないとは思いますが、今できるベストを尽くしていきます。そして2022年は、実践の検証・修正の年です。

 今回、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって、私たちの中でも情報発信に関する考え方が大きく変わりました。特に、デジタルを活用したオンラインセミナーです。前述したSDAに加え、SDOA(Swiss Dental Online Academy:スイスデンタルオンラインアカデミー)で学んでいただけるプログラムを用意し、たいへん好評を得ています。また、今後の展開としてGBTクラブというコミュニティの構築と運用を考えています。GBTを臨床で実践されている歯科医院様を当社WEBサイトでの紹介、また資料の無償提供や器械の保守・点検費用の優遇などを支援していきます。

 これらの取り組みは、すべてGBTの考え方やコンセプトを周知・普及させるためですが、GBTを理解していただける歯科商店様の協力なくして成功はありません。歯科医師と歯科衛生士がGBTの手順書に従ったメインテナンスを患者さんに提供するように、当社も器械のメンテナンスなど顧客支援に注力することで、当社の存在価値がアピールできるように努めていく所存です。

 最後に、当社の創設者であるBernd Bühnerの言葉のとおり「予防にまさる治療なし」を提供できる企業であり続けたいと思います。