2016年11月6日掲載
「歯周病フリーの実現は可能か」を考える会に
日本臨床歯周病学会第24回関東支部歯科衛生士セミナー開催
まずは症例発表のため4名の歯科衛生士が登壇。歯周基本治療で歯周炎が改善したケースや長期メインテナンスを目標に進めたケースなどが紹介され、歯周病予防のための定期来院のきっかけづくりや患者のモチベーションアップには、患者とのコミュニケーションが欠かせず、いかに重要であるかが語られた。
続いて、特別講演として薄井由枝氏(歯科衛生士)が登壇。まず、氏は、「歯科衛生士は予防士である」と述べ、「もっと"健康・予防"について真摯に考え、疾病を発症前に防いでいかなければいけない職業である」と歯科衛生士の社会的責任について会場の参加者にメッセージを投げかけた。
本題である歯周病に関しては、はじめに原因菌を含む局所的修飾因子に加えて、基礎疾患や遺伝、ストレスなど全身的修飾因子が関連する複雑な疾患だということを説明。そのうえで、歯周病管理のための3つのアプローチとし「バクテリア」「リスクファクター」「ホストレスポンス(宿主反応)」についてそれぞれ解説した。
一人として同じ患者はおらず、目の前の患者の状況を把握し起こりうるリスクを予測することが重要であり、これは、「患者とじっくり向き合える歯科衛生士だからこそできることである」と参加者を鼓舞した。
講演中は随所で、喫煙によるリスク説明の仕方や患者と良好な信頼関係を築くためのコツなどが、氏ならではのトークテクニックとともに紹介され、参加者にとって明日からの臨床で活用できる有意義な内容であったに違いない。