2016年11月22日掲載
「口腔機能低下症」の概念と診断基準を公表
(一社)日本老年歯科医学会、報道発表および報道説明会を開催
開会後、櫻井理事長(東歯大教授)は本会の概要ならびに公表の経緯について述べるなかで、「口腔機能低下症」は疾病であり、機能低下が進行する前の「オーラルフレイル」とは異なることを強調。学会として、医療関係者はもとより国民に口腔機能低下症を広く周知していく姿勢を示した。
引き続き、水口俊介学術委員長(医歯大大学院教授)による「高齢期における口腔機能低下」に関する学会見解論文の解説がなされた。水口氏は、学会見解論文2016年度版を基に、口腔機能低下症の診断基準として「口腔不潔」「口腔乾燥」「咬合力低下」「舌・口唇運動機能低下」「低舌圧」「咀嚼機能低下」「嚥下機能低下」の7つの症状のうち3つの症状となった場合、「口腔機能低下症」と診断すると説明。それぞれの症状に対する検査方法や代替検査方法についても紹介した。
その後に行われた報道関係者らとの意見交換の中で水口氏は、「口腔機能低下に関する認識をもっていただき、口腔機能にかかわる研究者らがエビデンスをつくっていくためのスタートとして論文を公表した。産・学協働でプロジェクトを取り組み、国民運動とするための第一歩としたい」と述べ、さらなる周知に向けてアピールした。
今後、さらなる研究が進みエビデンスが蓄積されることで、口腔機能低下症に対応できる歯科診療所が増えることが望まれる。