2016年11月27日掲載
天野敦雄氏による講演に参加者聴き入る
東北JIADS 2016オープンセミナー開催
午前中は、まず2001年に歯周病が人類最大の感染症とギネスブックに掲載された例を示し、「再生医療や予防医療などの医療が発達してきた21世紀においても、われわれ歯科医療従事者は歯周病を克服できていない」とし、歯周病の病因論の変遷を辿った。そして、P.g.菌の定着時期は18歳以降であり、その発症が中年期である傾向から、プラーク内の細菌同士が協力して歯周局所環境の変化とともに長い時間をかけて病原性を高めることを解説した。さらに、プラークの病原性は出血により一気に高まる。それを考えると、歯周治療の目的はプラークに栄養を与えないことであるから、歯周基本治療もその目的意識を持って取り組むよう示唆した。
午後は、まず「すべての患者さんに同じブラッシング指導でよいのか?」という疑問を投げかけ、磨き残しのプラークの病原性について考えてみようと促した。それは、抗原性のバイオフィルムからなる「感染性歯周炎」と低病原性バイオフィルムからなる「不潔性歯周炎」に分けられるのではないかとし、P.g.菌の型による歯周病の発症しやすさについて解説した。また、歯周病からくる口臭に含まれる物質は歯周病を悪化させることから、歯周治療のもう1つの目的を口臭の改善とした。さらに、歯周病と全身疾患、特に最近明らかになった関節リウマチとの関係などについて解説した。