2016年12月4日掲載

総合歯科診療をテーマに、高レベルかつ広範な内容の講演が展開

第4回JUC発表会開催

第4回JUC発表会開催
 さる12月4日(日)、電気ビル共創館みらいホール(福岡県)において、第4回JUC(Japan United Colleagues)発表会(水上哲也会長)が「総合歯科診療の重要性~GPのあるべき姿を考える~」のテーマのもと、参加者約500名以上を集めて盛大に開催された。
 
 冒頭では、水上哲也会長(福岡県開業)が本発表会の企画趣旨について説明。開業歯科医師である以上は、患者さんの主訴のみに着目するのではなく、多角的な視点で口腔内の診査・診断を行い、総合力を身に付けることの重要性を説いた。

 基本治療がテーマとなったシンポジウムPart1では、森本昌孝氏(福岡県開業)が歯周治療について解説。特に単根歯の場合は、多少の深いポケットが存在してもSRPの高いスキルを身に付けることにより、非外科で歯石を取り除く適切な処置が可能であると述べた。溝上宗久氏(福岡県開業)は、根管治療について解説。根尖の状態によってどう治療計画を立てるか、さらには解剖学的形態(歯質)の維持と感染源の完全な除去の両立について考察した。久木田 大氏(熊本県開業)は、歯冠修復について解説。適切な補綴物製作には、歯科基本手技の施行が不可欠であり、歯髄、健全歯質、歯周組織の保存を配慮すること、適切な歯牙ポジションの確保が重要であることを強調した。

 エビデンスと総合歯科診療がテーマとなったシンポジウムPart2では、池上龍朗氏(福岡県開業)が、インプラント治療を例に挙げ、エビデンス、EBM、ガイドラインといった用語の基本概念を解説した。そのうえで、エビデンスは指標であり、患者さんにとって有益か否かを考え、時には経験則に基づいた治療計画を選択することの必要性も付言した。また、村川達也氏(福岡県開業)は、Root Coverage症例を通じて、エビデンスとの適切な向き合い方を紹介。ガイドラインやエビデンスはつねにアップデートしていることにも触れ、臨床経験も軽視せず、バランスのとれた治療を行うことが大切であると述べた。

 総合歯科診療に必要な治療計画の組み立てがテーマとなったシンポジウムPart3では、雑賀伸一氏(福岡県開業)が登壇。糖尿病患者を例にとり、多様な病態を有する患者さんに対応するための客観的な分析について解説した。また、矯正治療が歯周組織の改善としても役立つ旨など、幅広い内容の講演を展開した。金成雅彦氏(山口県開業)は、矯正学的視点から講演を展開。連続性、対称性、舌房の広さ、咬合といった重要項目を挙げながら解説を進めるとともに、一臨床医による総合診療が今後はより必要なる旨を力説した。神田 亨氏(長崎県開業)は、有床義歯の豊富な症例を供覧しながら、全面均等加圧印象の有意性について示唆に富んだ講演を展開した。最後は、吉松繁人氏(福岡県開業)が登壇。本発表会の総括的な内容とも言える講演を展開し、今後はプライマリーケアのできるホームデンティストが多く育成されることが重要であるとの展望を述べた。

 なお、ランチョンセミナーでは、馬場正英氏(福岡県開業)が骨造成に用いる新しい器具、野地美代子氏(福岡県開業)がセレック有用性について、それぞれ講演した。また、各講演後には活発な質疑応答が行われたほか、来賓として招かれた大学関係者、経験豊富な臨床医が熱いコメントを寄せるなど、本会のレベルの高さ、活況ぶりを象徴する一日となった。本会の今後のさらなる発展に期待したい。

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