2016年12月4日掲載
康本征史氏、明快な経営論の展開で参加者を魅了
第12回M’sバージョンアップ欲張りセミナー2016開催
まず、歯科医院発表として坂本健二郎氏(茨城県開業)が登壇。2000年の開業から現在に至るまでの自院の定期管理型予防歯科医院としての歩みを紹介した。特に、予防歯科に取り組むにあたり、氏は、スタッフの大切さとスタッフが育つ仕組みを支援することが院長として大事な視点であると述べた。
続いて、今回の特別講師として康本征史氏(千葉県開業)が登壇。まず、この10年で変わったこととして、本年の保険制度改正において、かかりつけ歯科医機能推進のために包括的・継続的な管理の評価が導入されたことを解説した。一方、変わっていないものとして、一般的に歯科医院が嫌われている理由を会場の参加者らに挙げさせ、なぜそれがいまだに改善されていないのか、それは根本的なところが変わっていないからではないかと問題提起。患者さんに対してもスタッフに対しても物理的なコミュニケーションの量を確保することが肝心とした。それには、これまでの歯科医療を必要なときに治療を行う「非循環型モデル」から、患者さんが定期的に来院する「循環型モデル」への転換が必要と述べ、さらに具体的な医院規模や成長モデル、スタッフの配置や役割などについて時間をかけて詳説。特に歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士が本来業務に専念するためには「医療クラーク」の活躍が求められるとした。最後に氏は、痛くなったら歯科にかかってきた患者さんを、痛くなくても歯科医院に来院するように教育し直さなければならないとして、院長の役割は「教育」であると結んだ。
講演後の質疑応答では、会場から次々と質問が寄せられ、それに対する康本氏の明快な回答に参加者はいちいち納得した表情を見せていた。
その他、『歯科医院経営を安定させたい院長へ 77のアドバイス』(クインテッセンス出版刊)の発刊記念として、著者である濱田真理子氏、黒飛一志氏(株式会社デントランス代表取締役、医療法人たなばた会理事長)によるミニ講演も行われた。