2016年12月10日掲載
「いよいよ到来! 口腔内スキャナーの時代」をテーマに
日本デジタル歯科学会、平成28年度冬季セミナーを開催
1)「新規技術等の保険収載について」(小椋正之氏、厚生労働省保険局歯科医療管理官)
本演題では、CAD/CAM冠の保険点数が材料料と技術料の2階建てになっていることや、その材料料の評価法、また新技術が保険収載される際の3つのルート(新規医療技術の保険収載、先進的な医療技術の保険収載、医療機器・医療材料の保険収載)、今後口腔内スキャナーによる印象採得法が保険収載されるとした場合に予測される保険適用上の区分などについて示した上で、口腔内スキャナーによる印象採得法の保険収載に関しては、私見として「新技術、新材料(医療機器)の双方での保険収載が望まれる」「そのためには、学会とメーカーの連携が不可欠」などとした。
2)「口腔内スキャナーの現状と今後の展開」(馬場一美氏、昭和大歯学部歯科補綴学講座)
本演題では、口腔内スキャナーの(1)特徴、(2)利点、(3)歯科医療へのインパクト、(4)今後の展開、の4点について概説。ランニングコストの低減や従来の印象採得法と遜色ない精度、またスキャンしながらリアルタイムに支台歯形態の良否を判断できるといった特徴について列挙した上で、今後はますますモデルレス化(模型を製作しない歯科臨床)が進み、高透光性ジルコニアをはじめとするモノリシック材料もより普及・進化していくであろうとした。
3)「口腔内光学印象スキャナの臨床的精度、文献的考察 単冠からフルアーチ」(小池軍平氏、神奈川県開業)
本演題では、多数の文献をもとに口腔内スキャナーの精度について考察。「スキャナーがカラーかモノクロかというよりも、支台歯形態のほうが精度には影響する」「動画記録方式/静止画記録方式双方のディスクレパンシーの生じやすさ」などについて示した上で、まとめとして「単冠であれば、精度・予知性ともに問題ない」「複数歯の場合は、セラミック修復物で3ユニット、PMMAを用いた暫間修復で4ユニットまでなら問題なさそうである」「フルアーチに関しては、カメラの精度や画像合成のアルゴリズムの向上が引き続き求められる」、とした。
また、会場では3氏の講演後、スリーエムジャパン、シロナデンタルシステムズ、トロフィー・ラジオロジー・ジャパン、ストローマン・ジャパン、朝日レントゲン工業、の5社が企業講演を行い、それぞれの最新機種やソリューションについて紹介し、併せて好評となっていた。