2022年12月15日掲載

「手を繋ぎ育むこどもの未来~こどもの発達を見守る多職種連携~」をテーマに

2022年度日本小児口腔発達学会学術大会を開催

2022年度日本小児口腔発達学会学術大会を開催
 さる12月15日(木)、TKPガーデンシティPREMIUM名駅西口(愛知)およびWeb配信にて、2022年度日本小児口腔発達学会学術大会(末延慎司大会長、井上敬介代表理事、木村祐紀学会長)が「手を繋ぎ育むこどもの未来~こどもの発達を見守る多職種連携~」をテーマに開催された。本学会は、小児の筋機能矯正や予防に関心の高い歯科医師らを中心に活動してきた、名古屋予防歯科勉強会を前身とした会である。近年問題視される口腔機能発達不全症の治療・予防のためにさらに活動の場を広げていくとして、2022年8月に発足した。

 最初に行われたシンポジウムでは、大会テーマのもと2名が登壇。まず、町村純子氏(保健師、株式会社ゆう地域支援事業團)が「ちょっと気になる子にはわけがある~口とからだは一緒に発達する~」と題して講演を行った。昨今では、吸啜反射がない新生児や離乳食が進まない乳幼児、滑舌が悪い幼児など、医療対象とはならないが正常な発達が困難な子どもに出会うことも少なくない。それらは将来的に生きづらい体、生活しづらい体につながることもあるという。個々の子どもの発達に合わせた対応や、日常生活で体得できる工夫をこらしたトレーニング、他職種と連携したアプローチを多数紹介しながら、全身と口腔の発達が協調していること、子どもの発達支援に歯科専門家のかかわりが不可欠であることを示した。

 続いて杉山 剛氏(小児科医、一宮西病院)が「小児呼吸器科医の視点から見る小児の口腔閉鎖不全」と題して講演した。小児の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の2大症状である口呼吸といびきを中心に、小児OSAの診断や治療法、鼻疾患に対する治療法などを解説。口呼吸においては、アレルギー性鼻炎に対する医科的な対応とともに歯列矯正や口腔筋機能療法の有効性を挙げ、小児の正常な睡眠や呼吸を促すうえで医科歯科連携が欠かせないとした。また講演最後には、「睡眠時無呼吸症候群」を名付けた故Christian Guilleminault氏の言葉を引用し、早期にアプローチすることの大切さも強調した。

 その後は、学会趣旨講演、会員発表、ポスター発表などが催され、小児の口腔発達に対する学びを深められる1日となった。なお本学会では、きたる2023年2月11日(土)に設立記念講演会を予定。

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