2022年12月18日掲載
子どもの発達支援を発信するキャラクター「ハビルちゃん」の誕生秘話など語られる
(一社)日本歯科医学会連合、「子どものお口の発達と歯科医療を多方面から考える」を開催
住友氏による冒頭の挨拶では、自身がフィンランドに留学した際の経験として、フッ素塗布が浸透しているため子どものう蝕罹患率が低いことや、子どもたちの個性を伸ばす教育制度の充実などが述べられた。また、子どもの口腔機能発達の重要性を効果的に社会に発信するにあたり、発達支援を意味する「ハビリテーション」から生まれたマスコットキャラクター「ハビルちゃん」誕生秘話を紹介した後、「サンタクロースの住む村はフィンランド北部のコルヴァトゥントゥリの山の中です。ハッピークリスマス」と締めくくった。
次に、木本茂成氏(神歯大小児歯科学講座教授)より「小児歯科の最前線少子化時代の小児歯科~子どもたちとお口の発達について~」と題する講演が行われた。木本氏は、離乳初期から離乳完了期の口唇を使った食事から歯を使って食べられるようになるまでの「食べる機能の学習」を解説。その後、口呼吸の弊害として口腔乾燥や口の機能の発達不全をはじめとする悪影響に言及し、小児の口の機能発達のための指導・管理の重要性が述べられた。
続いて、水上美樹氏(歯科衛生士、日歯大口腔リハビリテーション多摩クリニック)より「歯科衛生士からの提言 子どもの口腔発達サポート~おうちでできるハビリ応援~」と題する講演が行われた。水上氏は、口の機能の発達や口唇閉鎖トレーニングの紹介を行うなかで、特に口のストレッチとしてあいうべ体操やガムを用いた舌トレーニングを挙げ「コロナ禍で話す、笑う、歌う機会が減っているかと思いますが、口呼吸が習癖化する前にトレーニングを行いましょう」と呼びかけた。
その後は、大高美和氏(管理栄養士、特定非営利活動法人ゆめのめ理事長)より「管理栄養士からの提言 子どもの口腔発達と食事の関係~ハビルちゃんお勧めの子どもの食べ物~」と題する講演が行われた。大高氏は、子どもの口腔の発達と食事の関係を考えるにあたり、食べ物の役割や食事環境の重要性について概説。なかでも、離乳食・発達期嚥下食を作るうえで硬さや大きさ、粘稠性の注意点にふれるとともにおすすめの調理器具が紹介された。
最後の総合討論では、高齢者の摂食嚥下トレーニングは社会に周知されてきているものの乳幼児における口の機能について理解が進んでいないことに言及し「子どもの成長を支えることが長期的には健康寿命の延伸に寄与する」と述べられた。