政治|2024年10月25日掲載

歯科技工士の業務範囲や就業場所の拡大について、慎重な姿勢が示される

日歯、定例会見を開催

日歯、定例会見を開催

 さる10月24日(木)、歯科医師会館において日本歯科医師会(以下、日歯、高橋英登会長)による定例記者会見が開催された。

 高橋会長は挨拶のなかで、歯科医師、歯科医院ともに減少局面に入ってきている現状に言及。その課題への対応策を探るべく10月2日には、全国の27歯科大学・29歯学部の有識者を集め、第1回となる意見交換会を行った旨を報告した。なかでも歯科医師の地域偏在の課題や働く場の拡大、資格試験というより選抜試験となっている国家試験の現状などを挙げ、「課題整理や今後の歯科界の展望予測とともに、より良い歯科界の未来に向けて有益な意見交換の場となった」と述べ、今後も継続していく姿勢を示した。

 また、日本歯科総合研究機構による資料「歯科医療機関における物価・賃金高騰の影響調査」を供覧しながら、歯科材料や医薬品、光熱費、従業員に対する賃金など歯科医院経営におけるさまざまな経費の高騰状況を説明した。特に金属価格の高騰にふれつつ、「補綴処置での利益がわずかな現状では歯科技工士に十分な技工料を支払うことが難しく、歯科技工士の処遇にも大きな影響を与える」と強調。歯科医院が非常に厳しい経営をしいられている業況に警鐘を鳴らした。

 次に、寺島多実子常務理事より記者団からの事前質問「歯科技工士の人材確保対策事業のなかで、歯科技工士の業務範囲や就業場所の拡大が議論されている件についての日歯見解」についての回答がなされた。寺島常務理事は、時代の変化や科学技術の向上に応じた歯科界のアップデートはもとより、国民に対する安全な歯科医療提供を担保する必要性を強調。日歯と歯科技工3団体(日本歯科技工士会、全国歯科技工士教育協議会、日本歯科技工所協会)で協議会を定期的に開いていることにふれ、「現場の意見を収集したうえで十分な議論を行い、法改正も視野に入れながら改善に向け尽力したい」と慎重な姿勢を示した。なお、きたる10月27日に歯科医師会館にて「歯科技工士の人材確保対策事業」の推進を目的としたシンポジウム(千葉県歯科医師会主催)が開催される。

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