社会|2024年12月16日掲載
「成功と生存のはざま」をテーマに
WEiN特別講演会が開催
さる12月15日(日)、東京科学大学特別講堂(東京都)において、WEiN(the Way to Endodontics in Newera)特別講演会(林 洋介会長)が「成功と生存のはざま」をテーマに開催された。本会は林氏(東京都開業)、八幡祥生氏(東北大学)が中心となり、本会会員が歯内療法分野のトピックについて講演およびディカッションし、本分野の知識やエビデンスについて学ぶことを主目的にするもの。これまでは10年以上クローズで行われてきたが、今回よりオープン形式で開催されるとのこと。
本講演会では9名の演者が登壇し、断髄、穿孔封鎖、歯頚部外部吸収、破折歯症候群など、バラエティに富んだ内容が披露された。特に、吉岡俊彦氏(広島県開業)は「根尖病変内への異物の押し出し」と題して、根尖病変内に押し出された破折ファイルやガッタパーチャへの対応について解説した。必ずしも前述の異物が悪影響を及ぼすわけではないため、根尖病変の原因を見極めたうえで除去するか否かを判断することが重要と述べた。また、根管充填の際に充填材が溢出すると根管治療の成功率が低下するというのがこれまでの定説であったが、最新のシステマティックレビューではオーバー根管充填の場合でも、フラッシュと比較して成功率に有意差はないことが示された文献を紹介。ただし、オーバー根管充填を推奨するものではなく、フラッシュで充填できることが最善であることを補足した。
全演者講演後には、パネルディスカッションおよび会場からの質問への回答が行われ、聴講者がより理解を深められるものとなっていた。本講演会で扱われたトピックは多岐にわたっていたが、どの講演でもその軸には今回のテーマである「成功と生存のはざま」を検討するメッセージが込められており、歯内療法を再考する良い機会になったものと考えられる。