学会|2024年12月16日掲載

「臨床検査で知る『くち』の物語」をテーマに

日本口腔検査学会、第17回学術大会を開催

日本口腔検査学会、第17回学術大会を開催

 さる12月14日(土)、15日(土)の両日、日本大学松戸歯学部(千葉県)において、第17回日本口腔検査学会学術大会(平野浩彦大会長、松坂賢一理事長)が「臨床検査で知る『くち』の物語」をテーマに開催された。

 1日目の開会前には、平野氏(東京都健康長寿医療センター病院歯科口腔外科部長)による市民公開講座「元気で長生きするための養生訓 フレイル・オーラルフレイルをご存じですか?」が開催された。平野氏は、平均寿命と健康寿命のこれまでの推移や口の機能低下による負のサイクルについて供覧し、死亡にかかわる疾患がコントロールできるようになったことで、生涯健康な状態を保つうえでも食べ続けられる口を維持する重要性が増していることを解説した。

 開会式では、平野氏、松坂氏による開会挨拶が行われた。平野氏は、近年の口腔機能への関心の高まりから「検査」も追い風となっていることをアピールし、松坂氏は、エビデンスに基づいた歯科治療を実践するうえでの検査の発展や気運の醸成に期待の言葉を述べた。

 次の特別講演1では、松坂氏が座長を務め、下澤達雄氏(国際医療福祉大学大学院医学研究科臨床検査医学教授)が「検査を活かす」と題して講演。下澤氏は統計学的な解析を行ううえで、特に検査・診断における感度と特異度について言及。症例を示しながら適切な情報の取得・提供を行ううえでの最適な検査の選択について提示した。

 続いて、シンポジウム1「ライフステージにおける口腔機能検査を考える」では、石井良昌氏(日本大学松戸歯学部口腔外科学講座教授)、乾 明成氏(弘前大学医学研究科客員研究員)が座長を務め、根岸慎一氏(日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座教授)、森下志穂氏(明海大学保健医療学部口腔保健学科准教授)、石井氏が講演。なかでも石井氏は、歯科職と管理栄養士との連携、とりわけ歯科で望まれる低栄養患者に対する支援について講演。低栄養の診断基準である「グリム基準」とともに低栄養がもたらす健康被害について解説し、食べるにつながる歯科臨床「臨床歯科栄養学」の必要性について説いた。

 2日目には、「口腔検査への歯科衛生士の関わり」をテーマに歯科衛生士部会によるテーブルディスカッションが行われた。参加者らは、それぞれ勤務している場での取り組みや抱えている課題を共有するとともに、明日の臨床に役立つ取り組みや考え方、患者説明などについて前向きな意見交換を行った。

 そして、特別講演3では山下秀一郎氏(東京歯科大学水道橋病院病院長)が座長を務め、小見山 道氏(日本大学松戸歯学部クラウンブリッジ補綴学講座教授)が「口腔顎顔面領域における機能検査の基礎知識」と題して講演。小見山氏は、咀嚼筋と顎関節の圧痛検査や睡眠時ブラキシズムに対する筋電図検査などをはじめとする顎口腔領域における機能検査の目的や概要について述べ、歯科臨床現場で必要な検査の確立と社会実装につなげる必要性を訴求した。

 その他、企業展示、口演発表、ランチョンセミナー、会員研修、ポスター展示、ハンズオンなど多彩なプログラムが組まれ、盛会となった。

 なお、次回学術大会は、きたる2025年11月1日(土)、2日(日)の両日、文化振興センター「ゆらてく」(沖縄県)において、康本征史大会長(千葉県・沖縄県開業)のもと開催予定である。

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