社会|2025年1月21日掲載

「歯の未来を守るために―保存と補綴の新たな視点―」をテーマに

第9回 Greater Nagoya Dental Meeting開催

第9回 Greater Nagoya Dental Meeting開催

 さる1月19日(日)、名古屋コンベンションホール(愛知県)において、第9回 Greater Nagoya Dental Meeting(高田智史大会長)が「歯の未来を守るために―保存と補綴の新たな視点―」をテーマに開催された。本会は、2017年に「名古屋から世界へ」を合言葉に立ち上げられたミーティングで、今回は全国から約400名以上が参集した。

 今回は歯科医師向けの講演がメインとなる「第一会場」と歯科衛生士向けの講演がメインとなる「第二会場」の2つの会場が設けられ、それぞれの会場で開会の挨拶が行われた後、以下の講演が順に展開された。

【第一会場】
「天然歯の保存にこだわる」
座長:飯田真也氏(愛知県開業)/演者:渥美克幸氏(埼玉県開業)
「Interactive Case Discussion~保存の新たな視点~」
座長:飯田吉郎氏、安藤壮吾氏、松浦貴斗氏(すべて愛知県開業)/演者:川名部 大氏(東京都開業)、小道俊吾氏(兵庫県開業)
「The Discussion 複雑な補綴計画のマネジメント」
座長:相宮秀俊氏(愛知県開業)/演者:小西浩介氏(東京都開業)、片岡 智氏(愛知県開業)
「欠損補綴の過去未来現在」
座長:高田智史氏(愛知県開業)/演者:寺西邦彦氏(東京都開業)

【第二会場】
「0歳から始まる予防歯科」
座長:西尾いづみ氏(歯科衛生士、D-WESTAIL代表)/演者:今泉三枝氏(愛知県開業)
「離乳完了前の口腔機能発達不全症へのアプローチ」
座長:西尾氏/演者:宮坂乙美氏(歯科衛生士、中村歯科キッズデンタルパーク副院長)
「口腔機能低下症とそのリハビリテーション」
座長:月星太介氏(愛知県勤務)/演者:鈴木宏樹氏(福岡県勤務)
「備えよう災害歯科―震災の教訓から学ぶ人々の絆とちいきの未来―」
座長:月星氏/演者:白石大佑氏(石川県勤務)

 第一会場の午前の部では、天然歯を残すためには(1)歯髄を残す、(2)歯質を残す、(3)歯周組織を残すことが重要であるとし、それらを残すための手法が多く提示された。また、午後の部では、すでに欠損が発生してしまった口腔内にどのように対応・治療したら良いのかが主に提示された。特に寺西氏は、これまで自身が行ってきた臨床をとおして欠損補綴の歴史を振り返り、「DX化が進む現在の歯科医療においては、治療がより低侵襲になり省力化が進むであろう」という私見を述べた。

 第二会場では、口腔機能発達不全症、口腔機能低下症や災害歯科が取り上げられた。まず、宮坂氏は0歳児の口腔育成について解説。まずは赤ちゃんに触る、触る機会をつくる、赤ちゃんに触られることに慣れることが口腔育成への第一歩であると述べた。また、鈴木氏は口腔機能精密検査の結果を患者にどう説明するか、またリハビリテーションの指導について詳説し、自身が行っている具体例を紹介した。白石氏は自身の体験をもとに災害時の歯科対応について解説。震災関連死のうち1/4が誤嚥性肺炎であったというデータを供覧しつつ、歯科医療従事者として対応できることなどを説いた。

 その他にも、協賛企業40社による企業展示や学生技工コンテスト、ランチョンセミナーなどが行われ、盛会となった。

 次回の第10回 Greater Nagoya Dental Meetingは、きたる2026年1月に開催予定である。

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