社会|2025年2月17日掲載

「伝統とイノベーションの融合」をテーマに

第52回日本臨床矯正歯科医会大会 京都大会開催

第52回日本臨床矯正歯科医会大会 京都大会開催

 さる2月12日(水)、13日(木)の両日、ウェスティン都ホテル京都(京都府)において、第52回日本臨床矯正歯科医会大会 京都大会(荻野 茂大会長、陶山 肇会長)が「伝統とイノベーションの融合―DXによる矯正歯科治療の最適化と健康寿命の延伸に向けて―」をテーマに開催された。

 本会では講演プログラムとして招待講演、臨床セミナー、会員発表(症例展示から投票で選ばれた表彰者による)、スタッフプログラム、学術展示・症例展示、商社展示などが行われた。

 そのうち招待講演では台湾矯正歯科学会(TAO)からKelvin Wen-Chung Chang氏が「Be a smart orthodontist in the golden age of orthodontics!(矯正歯科の黄金時代、スマートな矯正歯科医であれ!)」、韓国臨床矯正歯科医師会(KSO)からPaik Cheol-Ho氏が「Treatment strategies for vertical maxillary excess: Managing cases with and without anterior open bite(垂直的上顎過成長の治療戦略:前歯部開咬の有無に応じたマネジメント)」と題して登壇した。そのうちChang氏は、「アライナー型矯正装置」「歯科矯正用アンカースクリュー」「上顎拡大装置」の3つを論点として挙げ、症例を交えながら技術をスマートに活用し不正咬合を無理なく改善していく方法について解説した。現在隆盛を迎えている矯正歯科関連技術ではあるが、「Play, don’t be played!」と締めくくり、治療の主体が技術ではなく矯正歯科医にあることを強調した。

 いっぽう臨床セミナーでは、大会長を務める荻野氏(京都府開業)が「伝統とイノベーションの融合 ―DX による矯正歯科治療の最適化と健康寿命の延伸に向けて―」と題して登壇し、日本が直面している健康寿命延伸という課題に矯正歯科がどのように寄与できるか、またデジタルトランスフォーメーション(DX)によって転換期を迎えたといわれる矯正歯科であるが、そのDXとは具体的にどういうもので、何を効率化するのかを、自院のデジタル化の経験にもふれながらつまびらかにしていった。また濵中 僚氏(長崎大学)が「デジタルシミュレーションの矯正臨床への応用」と題して登壇し、「有限要素法による力学シミュレーションの現状と課題」「(力学に基づかない)デジタルセットアップとの連携による臨床応用の可能性」の2点について、みずからの研究を交えながら、その現状および臨床に実用できるかについて現実的な視点を述べた。

 本会では、矯正歯科治療中の患者を対象とした笑顔のフォトコンテスト「ブレーススマイルコンテスト」が毎年行われている。今回は記念すべき第20回を迎えたことから、1970年の第二金曜会として発足した同会の来し方を振り返る映像が披露されるとともに、大会賞および最優秀賞に選ばれた3名の患者の表彰が行われた。

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