大学|2025年2月10日掲載
「口腔機能評価と口腔機能管理の実践のために」をテーマに
2024年度 東京歯科大学リカレント教育セミナー開催
さる2月9日(日)、2024年度 東京歯科大学リカレント教育セミナー(東京歯科大学ウェルビーイングプロジェクト主催〔一戸達也学長〕、同大学同窓会共催〔冨山雅史同窓会会長〕)が、東京歯科大学水道橋校舎新館・血脇記念ホール(東京都)とWeb配信のハイブリッド形式にて開催され、約250名が参加した。
同大学は、2017年度の文科省「私立大学研究ブランディング事業」の対象校。その事業として2023年度から「各ライフステージにおける口腔顎顔面機能維持・改善で目指すウェルビーイング社会の実現」(ウェルビーイングプロジェクト)の取り組みを開始。本セミナーは本プロジェクトの一環として、「口腔機能評価と口腔機能管理の実践のために」をテーマに行われた。
冒頭、上田貴之氏(東京歯科大学)が、「全ライフステージでの口腔機能管理の重要性」と題して、本セミナーの企画趣旨を説明。口腔機能管理においては、2018年度の診療報酬改定でその推進がより明確になり、先日行われた歯科医師国家試験での出題も基礎的なものとして位置づけられているなど、昨今、注目の高いトピックの1つとされている。また、口腔機能に問題を抱える方は全ライフステージで少なくない現状もあり、それぞれの世代で歯科医療者の役割があることを示した。これを受け、ライフステージ別に以下の講演が行われた。
「高齢期の口腔機能の重要性」池邉一典氏(大阪大学大学院)
「筋代謝の観点から考える咀嚼筋の老化に関する基礎研究」星野照秀氏(東京歯科大学)
「壮年期・中年期では口腔機能をどう評価して何を管理すべきか」太田 緑氏(東京歯科大学)
「高齢者のフレイル予防を基軸とした栄養・食生活と口腔の関わり」本川佳子氏(東京都健康長寿医療センター研究所・管理栄養士)
「小児の口腔機能管理―口腔機能発達不全症の対応―」浜野美幸氏(東京都開業)
「健康な成長を築くための発達期の食事と摂食嚥下」大久保真衣氏(東京歯科大学)
なかでも、太田氏による「壮年期・中年期では口腔機能をどう評価して何を管理すべきか」では、まだ取り組みの少ない50代へのアプローチが具体的に述べられた。氏は、壮年期・中年期にも口腔機能低下はみられるが、高齢期とは対応が異なるという。50代では年1回程度の口腔機能の評価を継続すること、低下がみられた際には3か月ごとの管理へ移行。機能訓練では、口腔機能を向上させるというよりも、まずは本人に口腔機能低下の自覚をもってもらうことが大切だとした。そして、「口腔を使うことを意識する」「日常的にガムを噛む」「洗口剤を使用してうがいをする」「野菜の多い食事にする」など、日常生活で改善を図っていくことが望ましいとした。