政治|2025年3月14日掲載
歯科界を取り巻く課題について、質問や要望が多数出される
日歯、第204回臨時代議員会を開催
さる3月13日(木)、14日(金)の両日、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、高橋英登会長)による第204回臨時代議員会が開催された。
開会後、高橋会長は挨拶のなかで、歯科医院減少や地域偏在、医療DX化への対応など、昨今の歯科界を取り巻く現状や課題についてふれるとともに、会務運営をとおして豊かな歯科界をつくっていく姿勢をアピールした。
続いて各担当者より、一般会務・予算決算特別委員会報告などが資料をもとに行われた。決議事項では、第1号議案「公益社団法人日本歯科医師会定款施行規則の一部改正の件」、第2号議案「令和7年度事業計画の件」、第3号議案「令和7年度入会金及び会費の額の件」、第4号議案「令和7年度収支予算の件」、第5号議案「令和7年度資金調達及び設備投資の見込みの件」の全5議案が上程され、すべての議案が承認された。
その後は2日間にわたり、地区代表事前質問7題と個人事前質問27題に対する答弁が行われ、関連質問および要望も多数寄せられた。特に医療保険関係ならびに地域保健関連の個人質問が多く寄せられ、医療保険関係では特に安価な報酬単価に抑えられている歯内療法について追及がなされた。米国との価格差にもふれながら症例難度の区分がなく、ましてや前医が手をつけたより難度の高い症例の報酬単価が低く設定されている現状に適切な評価を求める声が出された。地域保健関連では、言語聴覚士との連携について取り上げられた。特に構音障害や摂食嚥下への対応は言語聴覚士の得意領域かつ歯科とも親和性が高いことに加えて、言語聴覚士法では歯科との連携が明記されながらも連携はマイノリティーであり、積極的な連携を促す必要性が提案された。
また、物価高騰に起因する歯科医院経営・人材確保の課題や日歯、各都道府県歯の入会率の課題に関する質問・要望が複数挙げられた。なかでも入会率の課題に対して高橋会長は、「組織力の強さは歯科の社会的な地位や発言力に深く関係する」と述べ、未入会者に歯科医師会活動について可能な限り説明の機会を設け、アプローチを行っていくことを強調した。
高齢歯科医師の引退と歯科医院の閉院の増加傾向を鑑みるに、入会率の維持・向上は難度の高い課題であることが予測される。高橋会長がアピールする豊かな歯科界を創造していくためにも「一人ひとりが歯科医師会に所属することへの帰属意識」という志が問われるのではないだろうか。