学会|2025年2月25日掲載

「Now or never ~多職種連携が紡ぐ Growth optimization~」をテーマに

(一社)日本小児口腔発達学会、第2回学術大会を開催

(一社)日本小児口腔発達学会、第2回学術大会を開催

 さる2月23日(日)、24(月)、東京国際フォーラム(東京都)において、一般社団法人日本小児口腔発達学会第2回学術大会(森 伊津大会長、井上敬介代表理事)が「Now or never ~多職種連携が紡ぐ Growth optimization~」をテーマに開催された。

 初日の開会の辞では森氏(千葉県開業)、木村祐紀学会長の挨拶の後、井上氏(愛知県開業)によるイントロダクションが行われた。井上氏は、自身が小児期に喘息を患っており当時非常に苦しい思いをした体験とともに、子どもながら対処療法的な治療ばかりであることに疑問を感じ、「自分の力で生きたい」と喘息に抗っていた過去について述べた。その自身の体験から「喘息で苦しむ人を救いたい」というこの強い想いこそが、今の口腔機能の取り組みにつうじていることを強調し、口腔機能の根本的な課題の解消に対するアプローチの重要性を訴えた。

 その後は、伊藤裕人氏(神奈川県開業)、関口一樹氏(埼玉県開業)が座長を務め、シャロン・ムーア氏(言語聴覚士、筋機能療法士)による招待講演「眠りで子どもは変わる」が1日とおして行われた。

 冒頭、シャロン氏は睡眠に課題のある複数人の小児の動画を供覧。じっとしていられない子、ADHD(注意欠如・多動性障害)、自閉症が疑われる子の多くは睡眠に課題を抱えていることを指摘し、多くの親は自身の子が睡眠に課題を抱えていることに気づかないことから未治療の子どもが減らない現状を述べた。あわせて、「睡眠障害による小児の発達・機能獲得不全は人生のQOLに大きくかかわるもの」との考えを示し、溺れた(睡眠に課題を抱えた)子ともに対する支援とともに睡眠障害のスクリーニングの重要性、そして「量(時間)」と「質」の双方が良質な睡眠に不可欠であることを詳説した。

 そして午後の部では、実際にシャロン氏が行っているレジスタンスエクササイズが紹介され、会場の参加者は事前に配布された舌圧子を使用したトレーニング、壇上ではさらにバルーンやカップ、ボールなどを使用したさまざまなトレーニングが行われ、実演をつうじてトレーニングは子どもが続けやすい形で行うことの大切さが裏付けられた。

 2日目は、多職種連携を中心とした講演が多数行われた。なかでも理学療法セッション「姿勢と呼吸から導くGrowth Optimization」では木村氏(愛知県開業)が座長を務め、渡海 毅氏(I Dental Clinic)、龍田佑樹氏(株式会社つなつく代表取締役)、古泉貴章氏(顎関節ケアセンター/ヤマグチ医院小児歯科)の3名の理学療法士が講演。渡海氏は歯科で常勤勤務となって感じた来院患者の姿勢、龍田氏は運動器機能不全症(ロコモティブシンドローム)を発生させる原因の分析、古泉氏は呼吸にかかわる筋肉の運動や気道と姿勢の関係などを中心に、それぞれの視点から理学療法士が歯科で貢献できることについて言及がなされた。

 そのほかの多職種連携セッションでは助産師、言語聴覚士のセッションが組まれた。前者ではお腹の中からはじまる口腔機能の発達支援、後者では小児の言語発達や言葉と脳機能・発声発語など、多職種の専門性を活かすことで生まれる付加価値について示唆に富む内容が披露された。

 最後は、各社より企業賞、学会から優秀な発表を行った演者への表彰とともに記念写真の撮影が行われた。その他、ランチョンセミナー、コーヒーブレイクセッション、登録セミナー、共催セミナー、ポスター発表など多岐にわたるプログラムが展開され、企業展示も含めて終日盛況となった。

 なお、次回の第3回大会は、きたる2026年2月22日(日)、23日(月)の両日、東京(会場未定)において開催予定である。

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