社会|2025年2月25日掲載
「Theory follows practice:理論は実践に従う」をテーマに
歯周再生療法研究会、IPRT The 1st meetingを開催
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さる2月23日(日)、日本歯科大学生命歯学部富士見ホール(東京都)において、IPRT(Institute for Periodontal Regenerative Therapy) The 1st meeting(主催・運営:合同会社IPRT)が「Theory follows practice:理論は実践に従う」をテーマに開催された。本会は、歯周組織再生療法および歯周形成外科治療に関する研究会である。科学的なエビデンスが重要であることをふまえたうえで、そのエビデンスの基となる臨床上の疑問や工夫、新たな治療法についての講演が行われ、本大会では講師8名、気鋭の歯科医師4名による講演、発表が行われた。
気鋭の歯科医師4名による会員発表では、久保田達也氏(東京都開業)、河島紘太郎氏(広島県開業)、舟山一成氏(北海道開業)、瀧本将嗣氏(東京都開業)が、歯周組織再生療法、歯槽堤増大術、根面被覆術に関する症例報告を行った。なお、「Treatment of Gingival Recession for Multiple Teeth」という演題で、複数歯にわたる歯肉退縮に根面被覆術を行った症例を提示した瀧本氏が会員発表のアワードを受賞した。
セッション1「Periodontal & Peri-Implant Plastic Surgery」では、歯周およびインプラント周囲組織の形成外科に関して、尾野 誠氏(京都府勤務)、奈良嘉峰氏(神奈川県開業)、Teresa Chanting Sun氏(国防大学・台湾)らが講演を行った。なかでも尾野氏は、下顎前歯部における根面被覆術について、下口唇の緊張や口腔前庭の浅さ、歯肉が薄いなどの理由により、他部位の根面被覆よりも困難であることを述べたうえで、術式選択のディシジョンツリーを提示し、CAFとトンネルテクニックを併用した術式を供覧するなど、聴講者が理解しやすいように解説した。
セッション2「Periodontal Regenerative Therapy」では、小道俊吾氏(兵庫県開業)、井原雄一郎氏(東京都開業)、神山剛史氏(埼玉県開業)、宮本泰和氏(京都府開業)、Po-jan Kuo氏(台湾開業)らが講演を行った。なかでも宮本氏は、歯周組織再生療法を取り入れた包括的歯科治療の長期経過症例を複数提示した。包括的な歯科治療を成功させるためには、患者要素や術式選択、その後のメインテナンスなど、いくつもの要素をうまく融合させる必要があり、それらを確実に行うことで良好な結果につながっていくことを話した。
本大会は、歯周組織再生療法および歯周形成外科治療の「今」を一日で勉強、再考できる内容となっており、参加者は明日からの臨床の一助になったものと思われる。今回が第1回目の開催となっており、来年には第2回を開催予定とのことである。