学会|2025年3月18日掲載

「新しい絆の構築」をテーマに約1,000名が参加し盛会となる

第34回日本有病者歯科医療学会総会・学術大会、ハイブリッド形式で開催

第34回日本有病者歯科医療学会総会・学術大会、ハイブリッド形式で開催

 さる3月15日(土)、16日(日)の両日、第34回日本有病者歯科医療学会総会・学術大会(山口秀紀大会長、坂下英明理事長)が、「新しい絆の構築」をテーマに、御茶ノ水 ソラシティカンファレンスセンター(東京都)とオンデマンド配信のハイブリッド形式で開催され、あわせて約1,000名を集め盛会となった。

 15日に行われた基調講演「歯科医療ニーズを踏まえた診療報酬改定における対応~周術期口腔機能管理に着目して~」では、石井良昌氏(日本大学松戸歯学部口腔外科学講座)が座長を務め、和田康志氏(厚生労働省保険局医療課歯科医療管理官)が登壇。和田氏は冒頭、日本の人口推移予測を示しながら団塊世代が後期高齢者に突入していくフェイズに入りつつあることに言及。そのうえで「医療とともに介護ニーズの上昇も見据え10年、20年先を見据えた診療報酬改定となるよう尽くした」と令和7年度診療報酬改定を総括した。あわせて活発な多職種連携を促すうえで連携先の算定項目についても充実させる必要性について述べ、特に保険薬局との連携強化・推進にあたり「服薬情報等提供料」の見直しと情報提供先に歯科医療機関が含まれることを明確化したことが解説された。

 教育講演2「有病者歯科での静脈内鎮静法の再考」では、小笠原健文氏(町田市民病院)、森本佳成氏(神奈川歯科大学全身管理歯科学講座高齢者歯科学分野)が座長を務め、宮脇卓也氏(岡山大学学術研究院医歯薬学域歯科麻酔・特別支援歯学分野教授)が登壇。宮脇氏は、静脈内鎮静法と全身麻酔の安全性や鎮静深度の境界について言及し、意図しない深鎮静の危険性について詳説。また、患者の不安解消(健忘)のために必要量以上の麻酔を投薬することについて問題提起し、適量の使用とともに安全な麻酔管理の重要性について示唆に富む内容が披露された。

 16日に行われた委員会企画講演「歯科医療安全管理マニュアル」では、田中 彰氏(日本歯科大学新潟生命歯学部口腔外科)が座長を務め、栗田 浩氏(信州大学医学部歯科口腔外科学教室教授)が登壇。栗田氏は、医療安全管理にあたり薬品のレベルに応じた管理とともに保守点検・報告義務の定めについて説明した。また、ヒヤリハット事例の紹介なども交えつつ、医療事故が起こる主な要因として業務の慣れによる近道行動やコミュニケーション不足、心身の機能低下などを挙げた。加えて、ヒューマンエラーが発生しないような体制整備の必要性、そして安全な医療提供を行うための心構えなどについても説いた。

 2日間にわたり、特別講演、学術教育研修会、シンポジウム、一般口演、ハンズオンセミナー、ポスター発表などが展開された。特に一般口演は16題にも及び薬剤関連顎骨壊死や基礎疾患、周術期管理、口腔粘膜疾患など多方面にわたる演題が組まれ、多くの演者が登壇した。なかでも若手演者が積極的に自身の研究成果や取り組みを共有する姿が各会場で見受けられ、質疑応答では活発なディスカッション・意見交換が交わされた。

 なお、次回学術大会は、きたる2026年3月6日(金)から8日(日)の3日間、東京国際フォーラム(東京都)において、髙山史年大会長(医療法人社団明法会理事長)のもと「有病者歯科と健康寿命」をテーマに開催予定である。

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