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2023年7月号掲載

日本歯科医師会の役割と次期執行部への期待

 日本歯科医師会(以下、日歯)の常務理事を2009年より2期務めた後、地元に戻って静岡県歯科医師会会長に就いた矢先、日本歯科医師連盟の迂回献金問題で日歯副会長として戻ることになった。

 これまでさまざまな政策と事業に携わってきた1人として、堀執行部の7年余りで過去から継続する課題解決に向けて一定の成果があったと考えている。歯科医療費はかつてのマイナストレンドから脱却し、新病名やメタルフリーなど活性化の新たな流れができたが、十分とは言いがたい。また、口腔健康管理の重要性について国民の理解が高まるなか、一過性のブームではなく、しっかり定着させることが必要だ。国民皆歯科健診もしかりであり、そのためには戦略的な対応を要する。

 政治的手法に偏重することなく、シンクタンク機能の強化など、それぞれの目標達成を目指す。併せてイノベーションを促し、速やかな臨床応用を図る。また新たな定点観測のシステムをつくることも一法だろう。これにより、さまざまなデータ分析と迅速な対策立案が可能となり、診療報酬以外にも感染症や物価高騰など時局の課題に対し、屋上屋を架すような調査は不要となる。医療DXは患者の利便性や医療の効率化はもとより、歯科医療機関の負担軽減につながるものでなければならない。また全国の病院歯科医師、行政歯科医師は不足傾向にあるなど、課題は山積している。

 地域医療の衰退を招かぬよう、国に提案できる実効性の高い解決策を次期執行部に期待したい。