社会|2020年12月29日掲載
S.O.N.Y-MED(福岡高齢者医療研究会)
大阪大学准教授・野原幹司氏による特別講演が盛会
開会後、野原氏は疾病構造の変化における歯科医療の変遷や現状にふれるとともに、う蝕や歯周病といった感染症の予防や疾患治療への対応(キュア)から、超高齢時代における高齢者の慢性疾患への対応(ケア)について、在宅医療で求められている歯科の重要性を強調した。
また摂食嚥下リハビリテーションの領域における多数の症例を供覧。その中で嚥下障害については病態にアプローチして訓練(リハ)するのではなく、全身疾患や服薬状況などを把握したうえで障害となっている原因を診断する必要性を説いた。さらに、2018年度診療報酬改定で保険収載された口腔機能低下症についても言及し、原因疾患の有無による嚥下障害の診断・対応など、嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査の動画を交えながらわかりやすく解説し、聴講者の関心を集めた。
講演後には聴講者との質疑応答が行われ、聴講者の疑問に対して野原氏はていねいにアドバイスしていた。最後に、超高齢時代における新しい歯科医療「歯科医療3.0」が求められているとし、医療の中心で多職種とともに患者さんに寄り添える歯科医療従事者が増えることに期待を寄せた。