2019年11月17日掲載
新テーマに「新たな歯内療法のストラテジーを探求する」
日本歯内療法学会、第26回専門医セミナーを開催
まず、「断髄法~不可逆性歯髄炎に対する新しい治療オプション~」と題して、泉 英之氏(滋賀県開業)が登壇。今年、ヨーロッパ歯内療法学会(ESE)から出されたポジションペーパーには断髄法が治療オプションのひとつとして載っており、また、昨年自身が上梓した書籍『治る歯髄 治らない歯髄』(小社刊)でも大きく紹介していることから、多くの臨床例を交えて解説された。まだエビデンスが確立されていない断髄法に対して「診断の不確実さ」、「歯髄腔の石灰化」、「予後の不確実さ」を訴えて警鐘を鳴らしながらも、あくまで私見として文献ベースで語る講演は圧巻であった。
つづいて「Revascularizationの導入と現状」と題して五十嵐 勝氏(日歯大教授)が登壇。歯根未完成歯の治療に対するapexificationからrevascularizationへの流れと、臨床例によるおさらいが行われた。Revascularizationを臨床的に決定づけた2001年のIwayaの症例やTropeの症例も閲覧しながら、2016年に米国歯内療法学会(AAE)から出されたrevascularizationのプロトコールでまとめられた。
ディスカッションでは、講演でも頻用されていたMTAの適応外使用についても取り上げられ、両演者からもその対応の仕方が語られたが、今後、学会でどのような取り組みが行われるかが注目される。