2021年10月27日掲載
藤澤政紀氏が「前歯部補綴治療の守備範囲を広げる」のテーマでWeb講演
クインテッセンス出版株式会社、第16回WEBINARを開催
90分にわたった講演は、(1)CAD/CAM冠用材料を理解する、(2)CAD/CAM冠の適応症を知る、(3)CAD/CAM冠を臨床に生かす、(4)前歯補綴の守備範囲を広げるために、の4部構成であった。
まず(1)では、これまでの歯種ごとのCAD/CAM冠の保険収載の流れやそれぞれの保険点数、また各社の前歯部CAD/CAM冠用ブロックの種類などが示された。
また(2)では、CAD/CAM冠を自費診療のジルコニアクラウン、また保険診療の硬質レジン前装冠と比較したうえでのメリット・デメリットや、各種論文を示したうえでのCAD/CAM冠の予後、および支台歯の色調がCAD/CAM冠の色調に与える影響などについて示したうえで、予後を左右する因子は症例の選択、支台歯形成、接着操作、なかでも対合歯とのクリアランスが重要であるとした。そして色調の問題と解決策としては、支台歯の色調を考慮すること、クラウンの厚みを確保すること、ネスティングの位置を考慮すること、周囲の歯も同時に治療できないか検討すること、および各社から販売されているコート材によるキャラクタライズを行うこと、とした。
(3)では(2)の内容をふまえ、上顎右側側切歯と犬歯の2歯にCAD/CAM冠を装着した症例を提示。この症例を基に、動画による支台歯形成の解説、同じく個歯トレーを用いた印象採得の解説を行ったうえで、クラウンの試適、中でも咬合調整のコツについて詳細に示した。また、装着操作およびキャラクタライズの方法についても詳説した。
そして(4)としては、ブラキサー症例に対する可逆的治療法としてのサンドイッチ構造のプロビジョナルレストレーションの提案、また隣在歯の保護を考慮した接着ブリッジの活用について述べた。
なお、講演後には質疑応答も多数寄せられ、この分野に寄せる読者・聴講者の関心が依然として高いことがうかがわれた。