2021年12月5日掲載

9か国からアライナー矯正治療の叡智が集結

第8回日本アライナー矯正歯科研究会、Web配信にて開催

第8回日本アライナー矯正歯科研究会、Web配信にて開催
 さる12月5日(日)、6日(月)の2日間、第8回日本アライナー矯正歯科研究会(JAAO、日本アライナー矯正歯科研究会主催、尾島賢治氏主宰)がWeb配信にて開催された。

 尾島氏(東京都開業)の司会で進行された本大会は、アメリカ、ドイツ、イタリア、フランス、スペイン、香港、台湾、タイ、日本の9か国から19名の演者がVTRで登壇し、外科とアライナー矯正治療、アライナー矯正治療におけるエラスティックの活用、アライナー矯正治療におけるTADsの活用、アライナーを用いた埋伏歯の治療と予防など、アライナー矯正治療に関するさまざまなアプローチや知見、トピックについての熱い講演が間断なく行われた。

 そのなかでWerner Schupp氏(ドイツ・ケルン開業、Journal of Aligner Orthodontics〔JAO〕編集委員長)は、冒頭にJAO日本版創刊への祝辞を述べた後、「In-Office Aligner Orthodontics(IOAO)」と題してみずからの診療室で行っているインハウスアライナーによる矯正歯科治療(アライナーを企業に発注するのではなく、口腔内スキャンデータから歯科医院内で作成し、矯正歯科治療と保定に活用する。時間的コスト、経済的コストを減らし、患者によりカスタマイズした装置を製作することがメリットとされる)について、使用しているシート、素材、ソフトウェア、顎関節症の診断を含めた検査診断法、症例をとおした実際の治療について説明した。

 また本会プログラムの最後を締めくくる講演として、尾島氏が「過蓋咬合の戦略的分類」を講じた。氏は、近年Ravindra Nanda氏(コネチカット大歯学部矯正歯科名誉教授)との共同研究からアイデアを得たアライナー矯正治療の難度分類に力を注いでおり、今回は過蓋咬合治療における分類について論じた。こうした分類は術者にとっては診断と治療計画における戦略決定の助けになり、実際に装置を装着する主体となる患者にとってはコンプライアンスの向上に役立つとした。

 今回の講演のラインナップとその内容から、海外におけるインハウスアライナーの潮流の高まりを感じ取ることができた。コロナ禍において直接海外の学術大会や講演に赴くことができない状況下において、こうした海外の潮流にふれられる貴重な機会となった。

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