社会|2024年5月14日掲載
筒井照子氏が「口腔機能障害のリハビリテーション 臨床マニュアル」をテーマにWeb講演
クインテッセンス出版株式会社、第49回WEBINARを開催
さる5月9日(木)、筒井照子氏(福岡県開業)によるWEBINAR#49「口腔機能障害のリハビリテーション臨床マニュアル」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。本講演は、筒井氏編著の書籍『口腔機能障害のリハビリテーション臨床マニュアル』の内容をベースに行われた。
筒井氏主宰の筒井塾および咬合療法研究会、日本包括歯科臨床学会では、顎口腔機能に悪影響を及ぼす習癖を態癖とよび、その改善を図ることを前提とした歯科治療に取り組んでいる。本講演のテーマである口腔機能障害についても、生活や個体差の中で発症する生活習慣病であり、歯科が取り組むべき課題であるとしたうえで、同書を参考にすることで、だれでも口腔機能障害の治療ができるようになると述べた。
その後、筒井氏は診査のうち視診について詳しく言及した。基本的には人間の顔は左右対称であること、歯列は広めのU字型で左右対称であり舌の形を写していることの2点を前提として視診を行い、「この2点が崩れていた場合、なにかしらの力が加わっている可能性を疑い、口腔機能への影響について考える」とした。
さらに、患者の個体差によって口腔機能障害の病態は変化するとし、書籍の「全身体格の個体差(今までの日本人、これからの日本人)」という項目(同書65ページ参照)にふれつつ解説した。筒井氏は「今までの日本人はがっしりとした体格であったため、態癖を有していても全身への影響は小さかった。しかし、これからの日本人の体格は変化しており、歯科治療で生じたわずかなずれでも全身に影響が及びやすくなっていることから、今後診療に関係してくるだろう」と予測を述べ、歯科の重要性を強調した。加えて、筒井氏は「不定愁訴を訴える患者に対して歯科医師が早々に歯科心身症と診断するのではなく、患者に寄り添い向き合って症状を改善していくことが重要である」と訴えた。
講演では必ず採得する資料についてもふれられ、筒井氏は顔貌写真、口腔内写真、歯列模型、パノラマエックス線写真、MRI、CBCT、ならびに矯正歯科治療を行う場合はセファログラムも撮影すると回答した。また、MRIの撮影は顎関節症の疑いがある患者、顔面が左右非対称であるなど顎関節症の徴候が認められる患者には必ず専門機関での撮影をお願いしていると述べた。なお筒井氏の歯科医院では、診察前に待合室で問診票への記入やパンフレットなどを先に患者に読んでもらう工夫によって、MRI撮影への理解がより得られるようになったとのことであった。
本講演の振り返り配信は、2024年8月9日まで新規購入が可能である。次回のWEBINAR#50は、きたる5月30日(木)、磯村 毅氏(医師、予防医療研究所代表)、吉田直美氏(医歯大教授)を招聘し、「患者さんがみるみる変わる! 歯科臨床での動機づけ面接超入門」の講演タイトルで開催予定。振り返り配信、次回WEBINARのお申し込みはいずれもこちらから。