社会|2024年7月1日掲載

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「咬合治癒への道 東京 ~咬合基本治療の確立~」開催

「咬合治癒への道 東京 ~咬合基本治療の確立~」開催

 さる6月30日(日)、アーバンネット神田カンファレンス(東京都)にて、「咬合治癒への道 東京 ~咬合基本治療の確立~」(筒井塾・咬合療法研究会関東支部主催、株式会社ヨシダ・日本包括歯科臨床学会共催)が開催され、約90名が参集した。

 まず「口腔の治癒とは 崩壊とは~50年の歯科臨床から辿り着いた治癒への道~」と題して登壇した筒井照子氏(福岡県開業)により、この4月に刊行された書籍『口腔機能障害のリハビリテーション臨床マニュアル』(小社刊)が紹介され、本講演がこの書籍に則して行われることが伝えられた。本書でも述べられていることであるが、筒井氏は本講演中、「咬合基本治療の考えが歯科界になく、いきなり確定的治療を行ってしまうことが歯科界のウィークポイントである」と強調し、「患者の気のせい」「歯科心身症」「不定愁訴」として片づけがちなことは歯科医師側に理解力不足が要因であり、患者の言葉と体の状態から情報を得て治療すべきであり、治せるはずであると警鐘を鳴らした。また筒井氏はその50年の臨床経験から「わかってきた」とする機能障害および治療法から、今回は顎関節症について取り上げ、延べ3時間にわたる講演を行った。歯列、口腔、顎顔面、全身はつながっており、当然相互に影響し合うものであり、歯科治療における5大禁忌(咬合高径を低下させる/上顎・下顎を後方に押し込む/歯列弓を狭窄させる/顎関節に負荷をかける/上下を歯列・歯単位ではまり込ませる)を避けることを前提に行う咬合治癒の理論と実際について述べた。

 また筒井スピリットを受け継ぐ筒井塾・咬合療法研究会会員による講演として、筒井武男氏(福岡県勤務)が「成長期における顎口腔機能発育不全への対応」、西林滋氏(群馬県開業)が「有歯顎の歯列変形が将来の無歯顎の顎堤変形につながるという視点を持つ」、大八木孝昌氏(東京都開業)が「包括歯科臨床における咬合基本治療の重要性」、川口 敦氏(神奈川県)が「顎機能障害に対する咬合基本治療の実践」と題して登壇した。そのうち西林氏は、一生単位に視点を変えて取り組む歯科臨床について述べた。加齢により多数歯欠損や無歯顎になる前に矯正歯科治療によって顎堤を左右対称のU字型に整えることで、総義歯治療や修復治療、歯周外科が行いやすくなることなど、GPとしての目線から包括的歯科治療について述べた。継承される筒井スピリットをさらに受け継ごうとする聴講者は熱心にそれぞれの講義に聞き入っていた。

 なお、本講演を共催している日本包括歯科臨床学会の学術大会が、きたる7月20日(土)と21日(日)の2日間に神戸国際会議場(兵庫県)にて予定されている。

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