学会|2024年7月1日掲載

「顎変形症治療に関わる叡智の結集」をテーマに

第34回(特非)日本顎変形症学会総会・学術大会開催

第34回(特非)日本顎変形症学会総会・学術大会開催

 さる6月27日(木)、28日(金)の両日、TFTホール(東京都)において、第34回特定非営利活動法人日本顎変形症学会総会・学術大会(濱田良樹大会長、森山啓司理事長)が、「顎変形症治療に関わる叡智の結集 Wisdom Concentration for the Treatment of Jaw Deformities」をテーマに開催された。

 「シンポジウム 顎変形症の発症要因および発症機序について考える」では、いまだそのメカニズムが解明されていない顎変形症の発症について、まず先天的な要因に関して、山口徹太郎氏(神歯大教授)が遺伝的な解析から、須田直人氏(明海大教授)が筋機能異常の観点から講演を行った。続いて後天的な要因について、堀内信也氏(徳島大講師)が、骨・軟骨成長との関連から治験例を交えて、菅崎弘幸氏(鶴見大准教授)が顎関節疾患とのかかわりを講演。外科的矯正治療に携わる関係者にとって不可欠な発生メカニズムに関する現時点での情報を共有し、理解を深める機会が提供された。

 「シンポジウム 顎矯正手術の進歩:術式の基本と改変ならびにその成果」では、画像によるシミュレーションや診断、ナビゲーション手術、精巧なデバイスの開発など、技術的な進展が目覚ましい顎矯正手術の術式について、現場の第一線で活躍中の演者が登壇。小野重弘氏(広島大診療講師)は多分割Le FortⅠ型骨切り術について、岩井俊憲氏(横浜市立大准教授)はCAD/CAM等の最新の技術も交えながら自施設における手術の変遷について、山内健介氏(東北大教授)は近年適応症例が絞られるようになった骨延長術の手術や管理のポイントについて、竹信俊彦氏(大歯大教授)は上顎形成やオトガイ形成において自身が近年改変や新たに採用した術式について紹介。各演者からはスライドや動画による実症例等が提示され、その成果を披露した。

 多数の口腔外科医、矯正歯科医等が集い、ポスター討論では通路いっぱいの参加者で熱気にあふれるなど、意欲に満ちた様子がうかがわれた。デジタル技術のさらなる導入が見込まれるなか、顎変形症分野の治療、研究、そして本学会のいっそうの発展が期待される。

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