社会|2024年10月21日掲載

節目にふさわしい豪華な演者による講演、歯科衛生士発表で盛況に

第6回苺の会10周年記念イベントが開催される

第6回苺の会10周年記念イベントが開催される

 さる10月20日(日)、オルガホール(岡山県)において、第6回苺の会10周年記念イベント(山﨑瑞穂代表)が開催され、約150名が参集した。本年10月15日をもって10周年を迎えた苺の会。今回はその記念イベントとして、「患者を中心に歯科医師、歯科衛生士との協働についてを考える」をテーマに企画された。

 午前は歯科衛生士による発表が行われた。演題・発表者(すべて歯科衛生士)は以下のとおり。

「患者の生活環境と全身状態の変化に配慮した慢性歯周炎15年経過症例」小林梨江氏(はら歯科医院)
「歯周基本治療により改善した広汎型重度慢性歯周炎の一症例」石原彰子氏(国立療養所邑久光明園)
「SPT期に急性歯周膿瘍を発症した歯周炎症例から学ぶ薬剤性歯肉増殖に関する一考察」小山香絵氏(AICデンタルクリニック)
「歯周外科における歯科衛生士の役割と非外科の可能性について考える」山﨑氏、谷口裕子氏(ともにDH Pro.School)

 演者は全員、日本歯周病学会や日本臨床歯周病学会の認定歯科衛生士で、発表のなかには日本歯周病学会学術大会のベストデンタルハイジニスト賞受賞症例も含まれているということもあって、いずれもハイレベルの内容だった。何より、「患者とともに歯周病の原因を追究し改善していく」という演者の強い想いが伝わり、会場は大きな感動に包まれた。発表後には、苺の会恒例の院長による花束贈呈も行われた。

 午後は特別講演2題が行われた。特別講演1では下野正基氏(東歯大名誉教授)が「歯周治療の目標は今後どのように変わるのか?」と題して講演。2017年のアメリカ歯周病学会(AAP)・ヨーロッパ歯周病連盟(EFP)による新分類が示唆することにはじまり、「臨床的に健康な歯周組織とは?」「なぜポケットデプスよりBOPが重要なの?」「歯周基本治療のみで付着が回復するのはなぜか?」などの疑問に病理学の視点から回答するとともに、歯周治療のゴールの変化にともない、歯科衛生士の役割はさらに重要になると強調した。

 特別講演2では、長谷川嘉昭氏(東京都開業)が「これからのチーム医療」と題して講演。氏は冒頭より、歯周疾患の病態を診るためには、血液検査や細菌検査などの病因検査によって原因を探ったうえで治療計画を立案することが不可欠であると主張。そのうえで、注目すべき検査項目や基準値、さらには氏が独自に考案した診断分類などを紹介し、歯科衛生士とともに実際に取り組んだ症例を数多く供覧した。まさに「これからのチーム医療」について示され、大きな反響をよんだ。

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