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2022年8月号掲載

歯科医師ではない組織代表、国政へ

 日本歯科医師連盟(以下、日歯連盟)推薦の組織代表候補者である山田 宏氏が175,871票を得て参議院比例区選挙に当選した。今回は歯科医師籍をもつ候補者とは異なり、日歯連盟推薦で得たほかに山田氏の地元・杉並区、関東圏、また保守派の論客としての票も加わっている。また、安倍晋三元首相が凶弾に倒れた直後での影響もあったはずである。しかし、日歯連盟の推薦があったからこそ今回の厳しい選挙戦を勝ち抜くことができたことは間違いない。

 山田氏に期待する歯科界の課題は山積している。その中でも今回の選挙前に注目を集めた「国民皆歯科健診」は、具体的かつ本格的な議論はこれからである。特に留意してほしいのは、歯科診療の現場の意見である。臨床現場の実情を知らない官僚主導の政策では机上の空論になるのではないか。

 また、選挙後に議論が進むと予想されている「かかりつけ医」制度については歯科もかかわるのだろうか。一般的には出来高払い主体の歯科医療はなじまないと考えるが、果たしてこの議論に加わらなくて良いのか。日本医師会との関係があるだけに歯科系議員を公言する山田氏に期待したいところだ。

 岸田文雄首相は今回の参院選で「黄金の3年」を得たといわれている。これからの6年間、いや次期参議院選挙までの3年間のなかで、山田氏が選挙中に訴えていた「国民皆保険制度維持のために、国民の体を口の中の健康から守る」という公約について、どう実現への道筋を示されるのか。歯科界全体で注視したい。